技術的制限手段の最新状況とその法的保護

知的財産研究科修了生

本論文では、無断での複製や視聴を防ぐ技術的制限手段に関する法改正と課題を、主にゲームやセーブデータなどに焦点を当て検討していく。不正競争防止法における技術的制限手段の規定は技術の進歩と共に改正され、最新の平成30年改正では、保護対象に新しく「情報」が加わり、ゲームのセーブデータなどもこの「情報」に含まれると解されている。改正法は、一見すれば、ゲームメーカー側に有利すぎる法改正にも思えるが、今ではほとんどのゲームがオンラインで世界中の人とプレイできる時代となっている。セーブデータの改変が他のプレイヤーへの迷惑行為、ひいてはゲーム全体のエコシステムを乱すことに繋がっていたため、改正法は、こういった治安維持的な意味でも今後のゲーム界に対応した妥当な改正だったと考えられる。