間接侵害法理の比較法的研究

渡邉 彰子

いわゆる間接侵害法理は、著作権法に定める各支分権の直接侵害に係る行為につき規範的解釈を行い、責任を負うべき主体をより広く認定するための判例理論であるが、法的安定性の見地からも問題があると指摘されている。
本稿では、英国をはじめとするコモンロー諸国及び主要EU諸国の法制及び裁判例を分析し、我が国との比較を行うとともに、裁判所の法創造機能に委ねるべき部分と立法対応を要する部分とに分けて、立法論を含む提言を行う。立法論としては、侵害専用品につき、英国1988年著作権・意匠・特許法の二次侵害規定を参考に、著作権法113条において、侵害とみなす行為として規定することにより、予測可能性を高めるべきであると考える。