著作権法における日本版フェアユース規定の導入について

西村 香那

技術革新に伴って著作物の利用態様が変化する中、米国法に倣った権利制限に係る一般条項(日本版フェアユース規定)の導入が検討されている。 本稿では、まず、日本版フェアユース規定の導入が検討されるようになった背景や現行著作権法の問題点につき、裁判例を含めて分析・検討した。その上で、このような規定を導入するとした場合における、その位置づけ、個別制限規定との関係なども考慮しつつ、あるべき対応について考察した。その結果、著作権法20条2項4号を参考にした補完的な受け皿規定を権利制限規定の末尾に置くべき、また、保護と利用の公正なバランスを図る考え方・解釈の定着を図るべきであるとの結論に至った。