連載漫画における原作者と作画者の権利について‐キャンディ・キャンディ事件を中心に‐

知的財産研究科修了生

キャンディ・キャンディ事件控訴審・上告審判決及びこれに対する諸学説(二次 的著作物説(不可分一体説、要素区分論)のほか、共同著作物説、結合著作物 的著作物説)を整理・分析するとともに、関連判例(江差追分事件最判、ポパイ・ ネクタイ事件最判等)も検討した。その結果、著作権法28条により二次的著作物 に対して原著作物の著作者の権利が不可分・包括的に及ぶとする、不可分一体 説に立つ上記判例を支持する私見を展開し、さらに、二次的著作物の利用の円 滑化の観点から、事前契約の重要性、65条類推適用の可能性、裁判外紛争解 決(ADR)の利用可能性などについて考察・提言した。