著作権法(知的財産法)の補完としての一般不法行為の成否について

長澤 松男

 近時上記の論文題目に関する最高裁判決(最高裁平成23年12月8日民集65巻9号3275頁)が言い渡されたことから、その内容、射程範囲について検討し、今後実務に与える影響の大きさを確認することに意味があると考え、論文のテーマとした。そして検討の結果、上記最高裁判決の射程範囲は広く、実際にその後の下級審裁判例では、最高裁判決に沿った審理が行われていることが明らかとなった。また上記最高裁判決は、著作権法による保護が認められない情報(成果物)について、例外的に民法709条による保護が認められる一場合について述べているにすぎず、今後さらに保護範囲の拡大を認める余地を残していると考えられる。