翻案権の射程について

菊谷恵理

翻案権に係る著作権法上の諸論点に関し、江差追分事件最高裁判決及びキャンディ・キャンディ事件最高裁判決をはじめとする判例を分析し、その射程について考察した。その結果、江差追分事件最高裁判決で言及されている、いわゆる「色褪せ論」を斥けつつ、原告著作物の創作的な表現が一部でも再製されている限り翻案権侵害が成立し得るとの見解を得るに至った。