進歩性判断における「容易の容易」について

葉 志堯

本稿は東京高裁平成14(行ケ)第259号審決取消請求事件を取り上げ、「上位概念化」、「容易の容易」と「効果の参酌」三つの観点から本判決の進歩性判断の妥当性について検討した。「上位概念化」と「効果の参酌」についての判断は妥当である。一方、「容易の容易」については、一見「容易の容易の容易の容易」の4段階を踏むものであるが、分析すると、実は一つの容易に更なるもう一つ技術手段を付加して、二つ「容易」を積み重ねて二段の論理付けを行っている。しかしながら、「全体としても容易」とするに必要な理由も証拠も充分ではないため、進歩性なしとするためには、説明不十な判断であることを指摘した。