進歩性における課題について

知的財産研究科修了生

進歩性判断は、本願発明とは異なる課題であっても、課題を有する引用発明に基づいて、別の思考過程により、当業者が請求項に係る発明の発明特定事項に至ることが容易であったことが論理づけられたときは、少なくとも構成の容易推考性が成立するというのが、日本、米国、欧州特許庁での考え方であった。しかし、近年この考え方を修正・変更する新しい考え方に基づく判決が連続してなされている。本論文では、従来の考え方に基づく判例の代表的なものとして飲料用ボトル事件、新しい考え方に基づく判例の代表的なものとして換気扇フィルター事件を取り上げ、両事件を分析・比較することにより、進歩性判断における課題の役割について考察を行った。