遺伝子の特許性について

倉持 佳菜子

21世紀を迎え、遺伝子による新たな産業革命が胎動しており、特許を武器とした遺伝子ビジネスに注目が集まっている。一方で遺伝子特許を通じての、アンチパテントの主張も再燃している。本論文は、未だに議論の尽きないこの新分野に知財制度がどのように対応していくのかを、米国ベンチャー企業に始まったバイオ産業の歴史から現状を踏まえ、問題点を生命倫理、研究の阻害可能性、発明の成立性、進歩性判断の各国の違いに分けて検討した。その結果、発明の定義からして機能の確定していない遺伝子は発明として成立していないこと、また、研究成果に見合った保護範囲という点から、遺伝子は用途発明に限定するべきであるとの結論に至った。