インクジェットプリンタの判決から見る特許管理についての研究

友田 吉洋

インクカートリッジにおける特許権侵害差止請求事件として、セイコーエプソン対エコリカ事件、及びキヤノン対リサイクルアシスト事件(2件)を取り上げた。これらの事件では、特許請求項が先行技術により無効と判断されたケースがあり、特許管理上に問題があったと考えられる。他方、最高裁まで争われたキヤノン対リサイクルアシスト事件では、特許の有効性が争点とならず、特許権が消尽するかどうかが争点となった。なぜ事件によってこのような相違が生じたのかを、事件に挙げられた特許の請求項や判決文を比較して、特許の新規性、進歩性、消尽について特許管理上の視点から特許管理のあり方に関して検討した。