特許権侵害物品についての水際措置比較研究 〜関税法第69条の20 通関解放制度 運用事例をもとに〜

山口 弥香

我が国の水際取締の制度のうち、通関解放制度が実際に運用された事例は1件しかない。その事例をとりあげ、通関解放制度を有する認定手続の現状とTRIPs協定との関係、他国の水際措置との比較・考察し、欧米の制度と比べ侵害差止効力が弱いと言われる我が国の認定手続の特徴を述べた。 同時に制度設計変更の可能性があるならば、水際という国外との接点での措置である以上、対物効を有する制度のほうが望ましいという観点から、水際措置は可視不能な権利に係る貨物については独立した権限を有する機関のもとで、税関は執行機関であることに徹底するべきであると提言した