非係争条項の独占禁止法上の取り扱いに関する考察
-マイクロソフトコーポレーション審決等-

藤本 千春

本稿は、非係争条項の独占禁止法上の取り扱いに関して、マイクロソフトコーポレーション審決(以下「MS審決」という。)等を通じて、考察を行うことを目的としている。我が国においては、MS審決では、マイクロソフトコーポレーションの行為は拘束条件付取引に該当するという理論構成をとっている。しかしながら、同審決は優越的地位の濫用を適用すべきであったと筆者は思料する。なぜなら、平成21年改正において、優越的地位の濫用は課徴金納付命令の対象とされたため、今後類似の事案については、より強い制裁を課すため、MS審決はその前例となるべきであったと考えられるからである。