米国特許法における情報開示義務制度と裁判所での判断基準について

M口 大樹

米国においては、米国特許出願を行うにあたり、出願人等が知り得る範囲の特許性に影響を与える先行技術を知っている場合には、これを隠すことなくUSPTOに対して情報開示陳述書(IDS)に記載し、出願書類とは別に提出することが義務付けられている。そして、これに違反した場合、出願人には特許権行使不能という非常に重いペナルティーが科されることとなっている。このIDSを巡る情報開示義務違反の判断は、裁判所において行われているが、その判断基準は、当事者にとって非常に不明確、不明瞭なものとなっている。本稿では、いくつかの判例をもとに裁判所の判断を考察し、その結果、当事者にとって有用な裁判所の判断の傾向を示す。