企業に幸せをもたらすブランド形成

知的財産研究科修了生

 世界で大きな収益をあげている多くの企業は優れたブランドを築き、競争ではなく、差別化による実質的な独占状態を築いている。ブランドは「経験則」という心理効果によって消費者の購買行動に大きな影響を及ぼし、この「経験則」は企業が提供するエクスペリエンスによって生み出される。優れたブランドは、ブランド認知、連想、ロイヤルティといった3要素を通して有利な認知上の品質を形成し、消費者に最もよい製品ではなく“最もよいであろう”製品を選ぶという「不合理な判断」を行わせる。以上のようなブランドの効果によって大きな収益をあげているのがiPhoneである。アップルの製品に共通するのは「操作性の追求」であり、人々が操作しやすいような製品を提供し続けてきた活動が「優れた認知上の品質」を生み出している。本論文では、ブランドとは何なのかを心理効果の面から捉えて定義し、ブランド形成に関わるヒントをまとめ、今後の日本企業が行うべき活動を提言する。