デザインの認知と意匠法

知的財産研究科修了生

裁判所における意匠の類否判断の具体的な手法は、意匠全体を総合的に検討した際に、基本的/具体的構成態様に加え、意匠の要部を認定し意匠の類否判断を行うとしているが、我々がどの様にして物品のデザインを認識し、何を以ってデザインの良し悪しを決めるのかを、認知科学、心理学、経済学の観点から考察する。「類似」は「事実として実在」する概念であり、法目的から導き出すような概念ではない。それは、基本的構成態様、具体的態様、基本形態、ありふれた形態、意匠の要部、創作性の有無等々の概念を言語化できたとしても、それらの概念のあいまいさ故に普遍性が担保されていない。しかし、だからこそ、我々はデザインに対してその形状(プロトタイプ)だけではなく、「どういう行動が可能か」「それが何を意味するのか」「その製品はどんな使われ方を想定されるのか」を抽出する作業を怠ってはいけない。