著作権法2条2項における『美術工芸品』に関わる一考察  −応用美術と美術工 芸の交錯を巡って−

知的財産判例研究修了者

著作権法2条2項において、『美術工芸品』は、美術の著作物として保護すること が規定されている。しかし、『美術工芸品』として保護される著作物とはどうい った創作物なのか、また、『美術工芸品』の広義の意味で用いられる応用美術との 境界に関しても未だ明確にはされておらず、現在においても審美的効果を有する創 作物が著作権法で保護されるか、否かを争う問題が現れている。 そこで、本稿においては、著作権法で保護される『美術工芸品』に該当する著作物 とはどういった創作物を指すのか、日本における『美術』という概念の成立を背景 として存在する美術工芸の枠組みも踏まえて、著作権法2条2項についての検討を 行う。