繊維分野における新素材の研究開発・事業化に関する知的財産戦略の特許版PPMを用いた分析

瀧山 翔太

炭素繊維のイノベーションプロセスを分析しモデル化するため、イノベーションに係る知的財産面と、各社のキャッシュフローからみた知的財産戦略の差異を新導入した特許版PPMより分析した。基本特許は公的機関によるものであり、企業において重要となるキャッシュフローの概念なしに実施許諾を行えたこと、並びに先発メーカーが市場を牽引し、後発メーカーは製造に特化しシェアを確保、又は優位性が得られない傾向が明らかになった。また、先発メーカーのキャッシュフローは先発メーカーのセオリーに沿い、後発メーカーでは一部技術で先発優位性を確保するが、概ね後発メーカーのセオリーに沿う戦略が明らかになった。