建築の仕事に夢を感じ建設会社へ就職
建築に興味を持ったのは、高校生の頃、祖父母の家がつくられていく様子を見たのがきっかけです。「この仕事は夢がある」と建築の仕事に携わることに憧れ、大阪工業大学の建築学科へ進学を決めました。学んでいるうちに「大きな建物を手がけたい」と夢は膨らみ、「地図に残る仕事」というキャッチフレーズに惹かれ、大成建設株式会社への就職を決めました。
入社後は、工事現場で施工管理業務を担当していました。主な仕事は、工事現場で働く職人さんたちに今日の作業について指示を出すことです。仕事は体力勝負。夏は暑く冬は寒く、朝は誰よりも早く現場に行き、夜は翌日の準備に追われる毎日です。同期の女性が次々に退職していく中、私は育児休暇を挟んで約7年間、この業務を担当しました。
学生時代に培った粘り強さがタフな建築現場で生きる
大学時代を振り返ると、いつも徹夜をして課題に取り組んだことが思い出されます。アイデアを絞り出して設計図をつくりこみ、さらに模型をつくるのは体力的にもハードでしたし、納得できる作品ができずに悩んだこともあります。それでも頑張れたのは、先生方から丁寧にご指導いただき同級生と励まし合えたからだと思います。
3年次からは「構造研究室」に所属しました。その頃はちょうど、姫路城の大改修前。行政の依頼を受けて、八幡工学実験場で土壁の耐震強度を研究しました。実際に、姫路城の修復に携わる職人の方々と一緒に泥まみれになりながら壁をつくる作業は、工事現場に憧れる私にとっては印象に残る経験でした。研究に追われて実験場で寝泊まりしたこともありましたが、そんな多忙な毎日の中で、粘り強さとやり抜く力を培うことができました。その経験があったからこそ、建築現場でのタフな仕事にも耐えることができたと思っています。
現場経験が認められ女性初の工事計画担当に抜擢
施工管理業務の仕事にはやりがいを感じていましたが、育児休暇からの復帰を機に内勤に異動しました。今は、オフィスビルや高層マンション、学校などの設計図を読み解き、物件を入手するための工事計画や工期を検討しています。建築現場では建物の一部分しか担当できませんでしたが、今は一つの物件を初めから一人で計画できるので、やり終えた後は達成感があります。
この仕事の面白さは、同じ建物の工事計画でも、考え方によって全く違う計画内容になる点です。勝負どころは、提出期限が決められている中で、どれだけ工期とコストのバランスが取れる計画を考えるかです。物件によっては、専門業者の方々とその施工方法が可能かどうかを相談しながら進めていくこともあります。期限までにアイデアを絞り出し、より良いものをつくるために粘り強く取り組む感覚は、課題に真剣に取り組んだ学生時代に似ています。あの時、やり遂げることができたから、今、何があっても乗り越えられるのだと思います。大変なこともありますが、工事計画は現場経験がなければできない仕事。しかも、同社では初の女性担当ということもあり、心地よいプレッシャーとやりがいを感じています。
諦めずに前を見て進んだから今がある
現在、私が計画を担当した建物の工事が進められています。私がつくった工事計画でよかったのだろうか、見落としはないだろうか、と不安もありますが、幸い問題なく進んでいます。
大阪工業大学では、目標に向かって諦めずに頑張れば、充実したカリキュラムのもと先生方がしっかりサポートしてくださいます。就職活動中も親身になって相談に乗っていただいたおかげで、今こうして建築に携わることができています。皆さんも、先を見据えて大学生活を大切に過ごしてほしいと願っています。