【学生相談室コラム】未来には、映画はない

2021年11月8日

「ポップコーンとコーラのペース配分も大事」

「ポップコーンとコーラのペース配分も大事」

 今年映画館で観た中で印象深かった作品のひとつに、高校生が夏休みに自主映画を撮るストーリーがありました。
 その中で、未来からタイムスリップ(!)してきた青年が言います。「未来には映画はない。映像は1作品5秒が基本、1分で大作だ」と。・・・映画好きにとっては絶望的な未来です。
 今、映像を観る媒体は数多くあります。配信動画を早送り、テレビ・スマホ・PCを同時並行も当たり前でしょう。しかし先日、映画館で上映中に前席の人達が雑談し、スマホゲームを始めたのにはさすがに愕然としました。
 かつては私も映画館での2時間がもたないタイプでした。ほかの用事が気になって腕時計(スマホのない時代です)に目をこらすこともしばしば。が、やがて自分の中に、もうひとつの“心の時計”(映画館仕様)のようなものができていました。
 高校までの授業やカウンセリングは45分から50分、これが一般的な集中の限界です。しかし別の“時計”では時間の流れ方が異なるように思います。
 上述した未来の青年は、現代の映画に涙し、「映画を作る」と言い帰っていきます。彼も自分の“時計”を持っていたのかもしれません。
 わざわざ映画館に行くのはちょっと・・と思う人へ、ひとつ提案があります。好きな作品を、部屋の電気を消して通しで観てほしいのです。用事は済ませ、飲み物を用意して、早送り・おしゃべり・ながらスマホはなしで。あなたの“時計”は時間をどう感じるでしょうか。

出典:映画『サマーフィルムにのって』
(監督:松本荘史 主演:伊藤万理華 2021年8月公開)

学生相談室カウンセラー 山下 彩

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