国宝犬山城  
 
 
 

▲展示の様子

 

工大コレクション展示「国宝 犬山城」
(2021年9月1日~2022年2月28日)を紹介します。

 


愛知県犬山市にある犬山城は、織田信長の叔父である織田信康が室町時代の1537年(天文6年)に築城し、天守は現存する日本最古の様式と言われている。その後は次々と城主が替わり1617年(元和3年)尾張藩付家老、成瀬正成が城主となってからは成瀬氏が代々受け継ぐ。
明治時代に入ると犬山城は廃城となり、天守を除いた大部分は取り壊されてしまう。
1891年(明治24年)マグネチュード8.0の濃尾大地震で天守が半壊したのを機に、修理を条件として愛知県から旧藩主の成瀬家に譲渡され、成瀬家と犬山町民が義援金を募って修復。
天守は1935年(昭和10年)に国宝に指定され、1952年(昭和27年)
規則改正にともない再指定される。
2004年(平成16年)まで全国唯一の個人所有だった珍しい城で、現在は財団法人犬山城白帝文庫の所有である。
木曽川のほとり、小高い山の上に建てられた「後堅固の城」犬山城天守の最上階からの眺めは絶景で、風光明媚なところから「白帝城」の別名もある。

<城郭の歴史>
1537年(天文6年) 織田信長の叔父織田信康が築城する。
1565年(永禄8年) 織田信長が一族の領地争いで犬山城を
         攻略した。
1584年(天正12年)「小牧・長久手の戦い」がはじまり、
         豊臣秀吉が入城する。
1600年(慶長5年)関ケ原の前哨戦で東軍に占拠される。
1617年(元和3年)徳川家康の重臣成瀬正成が拝領する。
         以後成瀬氏が幕末まで領主を務める。
1873年(明治6年)天守以外取り壊される。
1891年(明治24年)濃尾大地震で天守半壊する。成瀬家をはじめ
         多くの人々の支援により、無事修復される。
1935年(昭和10年)国宝に指定される。
1965年(昭和40年)4年にわたる解体調査が終了する。

【参考資料:犬山城公式リーフレット、公式ホームページ】



●「国宝犬山城天守修理工事報告書」は、1959年(昭和34年)
伊勢湾台風などで天守の破損が激しくなったために1961年(昭和36年)~1965年(昭和40年)にかけて全面的な解体修理工事が行われたときの報告書である。

●国宝に指定されている天守はこれまで、旧美濃金山城の天守を移築したもので日本最古といわれていたが、昭和40年の解体修理調査の結果、移築の痕跡はないという結論にいたった貴重な報告書である。

●天守は古い型である望楼型の天守であり、後世の天守にはない形であるため正確な建立時期は不明のままである。

●昭和40年の犬山城天守修理工事の解体修理調査の結果を「建造物の概要」「修理工事の概要」「調査事項」の3章にまとめた資料である。

【編集者:国宝犬山城天守修理委員会(昭和40年発行)
出版社:国宝犬山城天守修理委員会
工大玉置文庫 資料ID:18607377 請求記号:521】



◎1階から2階まで、または2階から3階までといったように、階をまたいで通した柱のことを通し柱と言う。
現代住宅では必須で、一般的には4寸(約12.1センチ)の角材が使用されている。
天守における通し柱の使用は珍しくなく、現存するほとんどの天守で見られる。

◎犬山城のような望楼型天守では、1階と2階、最上階とその直下階が同形同大になることが多いため、そうした形状の天守ではよく通し柱が配されている。犬山城天守では、1階と2階、3階と4階というように2階ずつの構造を2段重ねている。3階と4階は四周すべてが通し柱となっている。

【参考文献:『城の科学』p133 3行目~5行目、9行目~10行目、p134 図3-6解説文】



◎天守の外観でインパクトを放つのが、最上階の周囲に設けられた「廻縁(まわりぶち)」と「高欄(こうらん)」である。
望楼型天守では廻縁・高欄が設けられることが多く、安土城天守をはじめ豊臣大阪城天守、彦根城天守、犬山城天守などに見られる。

◎天守の最上階に設けられたバルコニーのようなベランダが廻縁で、そこにけられた欄干または手すりを高欄という。
高欄は安全のためのものだが、意匠を高めるためのものでもある。

◎最上階は1920年(元和6年)頃に増築され、実際に外に出て一周できる。
廻縁を歩くとどこか不安定に感じるのは、外側に向かって斜めに傾いているためである。その傾きは、荷重や老朽化による傾きではなく、雨水がすんなりと屋根に落ちるよう意図的に設計されている。

◎実際に外に出られる廻縁はあまりなく、飾りとして取り付けられただけのものがほとんどである。

【参考文献:『城の科学』p137 6行目~10行目
  p138 2行目~4行目、6行目~12行目】






展示資料
『国宝犬山城天守修理工事報告書』
編集者:国宝犬山城天守修理委員会(昭和40年発行)  出版社:国宝犬山城天守修理委員会

『日本城郭史』  著者:大類 伸 鳥羽 正雄(昭和11年発行)  出版社:雄山閣

『城郭絵図集』  著者:日本城郭協会(昭和36年発行)  出版社:日本城郭協会

参考文献
『犬山城公式リーフレット』

『犬山城公式ホームページ』

『城の科学』 著者:萩原 さちこ 出版社:講談社

『日本大百科全書 2』 著者: 出版社:小学館

『建築大辞典』 編集者:彰国社編 出版社: 彰国社