イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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 何をすればいいか、自分で考えることができる、自分で考えて行動できるエンジニア育成が重要であると考えます。そして、その会社の既存の商品とか価値でなくて、さらに次の新規アイデア、商品、イノベーションを起こしてくれるエンジニア像が、この技術が急速に変化している時代の、各企業の要望です。そのための教育が、私どものデザイン思考教育です。これは、世界の潮流ですが、米国は以前から、イノベーション教育を強化しています。ヨーロッパはHorizon2020という枠組みで、インキュベーション、新規事業創出に重きを置くという流れになってきています。 日本は、4年ほど前から、文科省がエッジプログラムを始めています。エッジプログラムは、まさしくイノベーション人材創出のためのプログラムです。同時に、中央教育審議会で、大学教育の質の転換ということがいわれていまして、その中で、イノベーション人材育成がうたわれています。 このように、世界各地の状況は、まさしく、イノベーティブな人材育成という方向に大きくかじを切っているといえます。イノベーション創出のための人材育成と、イノベーションエコシステムの形成ということで、多様な人が集まって新しいイノベーティブなアイデアを生み出し、事業に結び付くエコシステムが出来上がっていることが、非常に重要であるということです。私どもの大阪の拠点というのは、まさしくそういう場所であると考えます。この場所で、大阪商工会議所などと連携して、エコシステムを立ち上げていくということを進めています。8●イノベーション人材育成の事例 これは、デザイン思考ツールの一例です。例えば、未来の情報家電を考えたときに、まず、歴史はどうだったかを見ます。パーソナルコンピューターが立ち上がってきている流れや、モバイルデバイスが生まれてきている流れを見ることができます。大事なことは、技術だけではなくインフラや社会の流れも一緒に考えることです。 私どものデザイン思考の特徴ですが、こうやって書いていくと何が分かってくるかというと、例えば、iPodの前はウォークマンでした。iPodが出たのは、大体、2002年ぐらいです。ウォークマンはこの当時、いろんな会社が作っていましたが、市場規模として数百億ありました。iPodが出て、その市場が3年間で消えました。これを書きますと、そういうものが見えてくるわけです。ここで、なぜ、そういう大きな変化が起こったのかということです。これを、学生たちに考えさせます。 家電業界では、できるだけ薄く、軽量化するということを、必死でやっていました。顧客は数10曲を持ち歩くということと、それを軽量化、小型化するということが望みだったんでしょうか。ユーザーニーズが、そこにあったのでしょうか。iPodが出てきて何が起こったかといいますと、何千曲が運べるということ。ユーザーの潜在的ニーズ、隠れたニーズを考えたとき、実は、

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