イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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 では、どのように指導していくかということですが、一番、コンセプチュアルなイメージとして、T型人材の図があります。これは、スタンフォード大学のLarry Leifer先生が用いられる図です。通常、学生は研究室に入って、専門技術を学んで出ていく。しかし、社会に出たときに、その専門技術を生かす職場に必ずしも就けるかどうか分かりません。多くの場合、違う仕事をやっていることが多いのです。 デザインシンキングの横軸は何かといいますと、自分の技術を使うために、シーズ指向でものごとを考えるのではなく、ユーザーがどういう課題を持っているかを分析する。そして、どのような解決策があるのか、それを実現するための技術は何が必要かと考えて、他の人たちと連携して、解決すべき技術なり、サービスを作っていく。そういうマインドが必要ということで、専門性と、横に翼を伸ばすような感じで、多様なスキルの人々とつながる能力を持った人材育成が必要です。 デザイン思考プロセスにおいて、一番上が課題の本質の把握です。この課題の本質は何かということを、一生懸命考えます。ある課題に対して、今までの技術はどうだったか、どういう解決策があったか評価する。これがベンチマーキングです。ニードファインディングは、ユーザーを観察することによって、潜在的ニーズを分析する作業です。観察の力は、極めて重要です。 次に、アイデアを出します。IDEOという会社がありますが、彼らは1時間に100ぐらい生み出します。その次に行うのが、絞り込みです。そして、絞り込んだアイデアをプロトタイピングして評価します。プロトタイピングには、いろんなステップがあります。一番初めは、みんなで議論している中でプロトタイピングを使って、さらに議論を深めるという所から始まって、ある特定の機能の課題を探るプロトタイピングを行い、それから、最終的には全部が動くものを作ってテストをします。テストをしたら、必ず新しい課題が生まれるので、もう一度元に戻って、このサイクルを回していきます。10●デザイン思考教育の実際

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