イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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 通常、2週間に一つプロトタイプを作るくらいのスピードで行います。考えている間に作れと、指導しています。つまり、プロトタイプを作ることによって、新しい知見が得られます。考えていても分からなくても、作ったことで分かるということが多いので、このような指導を行っています。 デザイン思考プロセスの違う見方として、縦軸に、具体的〜抽象的。横軸に、分析〜合成という軸を取ったときを考えます。この図もスタンフォード大学のLarry Leifer先生が用いられる図です。まず、具体的かつ分析的作業として観察があります。次に、課題を抽象化した上で、フレームワークを作り上げます。コンセプチュアルなモデルです。このモデルを用いて解決策を考える、すなわち、アイデアを出します。アイデアを実際の場面に当てはめるために、また具体的な所に戻して、ソリューションを作り上げる。 例えば、テレビのリモコンのボタンは、多いもので100個以上あります。とても使いやすいとは思えません。なぜ、そういうリモコンが出てきたかと考えます。テレビに新しい機能が追加され、そのためのボタンを付けてくれという要求が来る。新しい機能がテレビに付いたということを、抽象的なところを上に持ち上げて考えるのではなく、具体的なところだけで、新しいテレビに新しい機能が付いたからボタンをどこに付けようかと考えて付けるということは、結局、下の部分です。つまり、新しい機能が付いたテレビの本質は何かを考えずに、とにかくボタンを付けようとすると、課題を具体的な世界でのみ見ることになります。この4象限をバランス良く回すことが、非常に重要であると考えます。11●PBLについて PBL(project-based learning)は、社会や企業が持っている課題にチャレンジするということで、より実践的な、エンジニアとしてのトレーニングができるものです。徹底的な、ユーザー中心の視点で考えます。具体的な例では、未来のディスプレイはどうあるべきかという

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