イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
14/100

課題に対して、ディスプレイがどういう所で使われているかを観察し、ベンチマーキングをします。あとは、使用場所、応用例などの調査をします。さらに、アンケートで、どんな年代の人がどんな機器を持っているかとか、人種、居住環境、家族構成などを調べます。このような調査も、観察と同様に、非常に重要な活動になります。 次に、観察についてですが、例えば、コーヒーショップの前でパソコンを開いていたり、観光地でパソコンを広げて仕事をしている人がいるのを見たとき、どう考えるかです。つまり、エンジニアとか、研究者とか、ワーカーがオフィスから出ていっていると。いろんな所で仕事を始めているということが、観察をすると見て取れるということになります。観察をすること、そこから潜在的ユーザーニーズをどう考えるかということ。これは、非常に重要なトレーニングになります。 次にデザイン思考での未来のユーザーの考え方です。現在が2010年だと思ってください。私たちは、2020年の新商品を開発しなければなりません。10年後に売り出す商品を、今、考えよう、そのターゲットユーザーは40歳だとします。通常は、10年後の40歳をターゲットとすると、現在の40歳のユーザーが、どんなことをしているんだろうということを見ます。しかしそれは、10年後の40歳のユーザーを見ていることになるでしょうか。恐らく、現在40歳の人たちと、10年後に40歳になる人たちは、育ってきた環境が全く違います。現在40歳の人を見ていては、ユーザーニーズを外してしまう場合が多いのです。こういった、フューチャーユーザーの観察の仕方も重要な手法の一つです。同時に、国や地域によって、人口構成の変化を考えることも非常に大事です。人口構成が大きく動いていくので、同時に市場が大きく変わってきます。このようなユーザーの見方を、ツールを使って行うことができます。 課題に関連して、ペルソナやアクティビティホイールなどを用いて、ユーザーがどんな生活をするか分析します。例えば、航空会社の場合、飛行機を予約し、飛行場でチェックインして搭乗、フライト、到着までを考えます。すると、チェックイン時にものすごく混んでいて、お客さまが不快な思いをした、あるいは、機内で問題があって不快な思いをしたなど、どこがユーザーニーズのキーポイントなのかを、分析できるわけです。通常、航空会社ですと、飛行機の中だけを考える場合が多いですが、実は、その前後も全て含めた形で考えることが、非常に大事であるということです。 デザイン思考では、イノベーション創出のツールの使用が効果的です。私どもの大学の客員教授Tamara CarletonとWilliam Cockayneが開発したPlaybook for Strategic Foresight and Innovationを説明します。三つのフェーズがあります。パースペクティブは、課題をどう捉えるかというフェーズ。フェーズの2は、オポチュニティ。未来のユーザー特性を理解するための手法です。3番目はソリューションです。どこにイノベーションのチャンス、12●デザイン思考とツール

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る