イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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24ロボットによる地域活性化【徳島会場】ポイント 大阪工業大学は、2016年7月から9月に、日刊工業新聞社と共催で、社会人向けデザイン思考講座に取り組みました。この講座では、大阪でも有数の商店街である千林商店街を、デザイン思考を使って空間デザインとしてロボットを活用し、活性化することがテーマでした。 参加者は3グループに別れ、A、B、C、Dの4段階で講座を進行しました。まず初めのAでは、デザイン思考の概念と知識を理解します。次にBで、実際に千林商店街へ行き、フィールドワークを行います。そして、フィールドワークで得たデータを基に、課題設定を行うのがCです。最後に、Dでプロトタイプを作成します。 フィールドワークとは、現実の空間を調査して課題の全容を大きく理解し、チームで共有し、課題に共感するということです。そして、問題点との関係性を考え、ロボットの活用による解決方法を検討する準備を行います。まずは、事前に、協力してくださる商店を探しますが、皆さん多忙のため、なかなか対応が難しいという実情がありました。そして実際に現場の空間を歩き、商店主や、商店街を利用するお客さまにインタビューをして、現地調査を行いました。 集めた情報を基に観察シートを作成し、KJ法やヤヌスコーンといったデザイン思考ツールを使って分析をしました。結果、千林商店街では、自転車走行が多く、多くの駐輪によって歩行者の回遊行動が阻害されていることや、2階の空間の活用が少ない、店主の高齢化と後継者不足の問題などが浮かび上がりました。 ワークショップには、家電メーカーをはじめ、さまざまな方たちが集まりました。そうした異なった分野の知識を持ち寄り、5年後ぐらいの設定でアイデアを出し、プロトタイピングを行いました。「大阪らしいリアクションを体験する商店街」「ロボット商店街」「健康増進商店街」という、ユニークなソリューションが提案されました。 本講義は、前項の徳島の活動とは異なり大都市大阪における商店街の過疎化問題を解決する方策をデザイン思考を活用して考察したケーススタディを示している。両者とも、デザイン思考をツールとして使って、そこに住む人たちの共創と共感がコミュニティ活性化のキーワードであることを紹介をしている。空間デザインによる地域活性化大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部空間デザイン学科 西應 浩司 教授

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