イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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28ロボットによる地域活性化【徳島会場】 MOT(技術経営)には、まず、システムを工学的に実装していくアーキテクチャーの側面があります。ここでは合意形成、つまり、メーカーのローカルルールとして、部品の連結方法を定めることが、極めて重要です。そして、ロボットというのは、人とシステムのインターフェースとしての側面があります。また一方で、ティアという考え方があります。これは、メーカーはティア1からティア3の階層に分けて各企業の役割を定め、リーダーシップを持って、産業人口を保てるようにしていくという考え方です。 ロボットによる地域振興の事例を、四つご紹介します。兵庫県のJAたじまでは、米市場の停滞と、直売所に来るお客さまの情報を把握できていないという課題がありました。その対応策として、直売所にロボットのペッパーを導入。お客さまのファーストコンタクトをペッパーが行い、顧客情報を収集し、従業員が商談に結び付けるというものです。八王子の日帰り温泉施設では、館内でのお客さまの導線変更にペッパーを活用した結果、食事店舗の利用者数が7パーセントアップしました。ペッパーには、あらかじめ開発支援キットが用意されており、例えば現場に立つ店長の経験値、対面トークなどを反映することができます。このように、ロボットで地域振興を考えるには、ベンダー側の発想だけでは難しく、標準的なものをいかに業界に応じてカスタマイズできるかどうかが重要です。また、NTTでは、国内の複数の銀行で、コミュニケーションロボットSotaをテラーカウンターに置き、接客をして情報を収集し、評価するという取り組みを行っています。また、人工知能Watsonの事例として、金融機関のコールセンターでの自動応答システムが挙げられます。 ロボットは、まだ実証実験をしながら社会実装の課題を明らかにするという段階で、今後は、人手不足など地域のビジネスを、いかにサポートしていくかというところでしょう。そのために、音声技術や画像認識技術で、お客さまの満足度を測定して、上げていくために研究していくことが、大学の立場だと思います。MOT視点からロボットで地域振興を考える摂南大学経営学部経営情報学科 北村 浩 教授

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