イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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52 私は、ジャパンバイオデザインという、シリコンバレー流のイノベーション人材を育成するプログラムを、日本に導入するということをしています。今、デジタルヘルスといわれる領域では、2020年にはグローバルマーケットサイズが200ミリオン以上になるといわれます。ホットなトピックとしてはモバイルヘルス、在宅、ロボティクスといったところです。製造ではなく、医療、介護、福祉サービスは、非常に大きく有望な市場として、いろいろな国が着目しています。 イノベーションとは、完全に新しい技術を作らなければ起こせないのかということが、よく議論になりますが、必ずしもそうではありません。例えば、AppleのiPhoneは既存の技術を組み合わせて、新しい価値と新しい市場をつくりました。イノベーションに失敗する理由としては二つ考えられます。一つ目は、エンジニアが技術やアイデア主導で開発を進めてしまうテクノロジープッシュ。結果、ハイテクノロジーが、必ずしもイノベーティブであるとはいえないのです。二つ目はバッドフレーミング。ユーザーニーズを点で捉えているため、本質を考えていないということです。 バイオデザインでは、ニーズを見つけたとき、こういう書き方をします。Y(対象)にとってZ(生み出す価値)をもたらすために、X(問題解決)をする方法は。「日本の医療分野で」「イノベーションを実現するシステムを構築するために」「革新的な医療機器を開発できる人材を育成する方法」といった具合です。本当にそうなのかを突き詰めるために、ニーズを現場検証する。医療機器であればドクターだけではなく、看護師、管理者など、ソリューションを提供するとき、誰を注意深くケアすべきかを明確にし、ニーズを再定義します。同時に、重要な点がスピードです。ドクターの意見を聞いて、早めに方向修正すれば、コストもかかりません。ロボティクスはメディカルエリアにおいて、なかなか難しいですが、ニーズの切実性が高いので、価値がつくりやすいといえるでしょう。医療福祉ロボット【大阪会場】医療・福祉分野におけるイノベーションへの招待大阪大学が進めるバイオデザインについて大阪大学大学院医学系研究科バイオデザイン学共同研究講座 八木 雅和 特任准教授

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