イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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56サービスロボットをメインテーマに秋葉原UDX(東京都千代田区)でNEDO講座(東京会場)を開催し、学生・社会人48人が参加。10月20日午前は4F Next-1において、デザイン思考、テクノロジー、MOT(技術経営)分野それぞれの有識者の講演内容を紹介する。 サービスロボットは、国の取り組みとして、2020年までに介護・生活支援ロボットの国内市場規模を500億円に拡大することを目指しています。そういう中で、生活支援、リハビリも含め、移乗介助、移動支援、排泄支援・入浴支援、見守りの分野で、各社いろんなロボットが開発されています。 代表的なものをご紹介すます。トイレに行く、ベッドから起き上がる、歩行といった補助としては、クマ型ロボットが抱きかかえるといったもの。自立歩行アシストとしては、片麻痺でうごかない足をアシストするロボットや、筋電位を取ってサポートするもの。排泄支援では、ベッドサイドに水洗トイレを設置するシステム。その他、落ちたものを拾うとか、カーテンを開けてと言えば開けに行く、一般的な生活支援ロボットや、食事をサポートするものなど、いろいろなものが出ているのが現状です。見守りの分野では人工知能の応用により、夜間の事故を防いだり、1人暮らしの方のコミュニケーションロボットの開発が進んでいます。 問題は、非常に高額であり、重量も重い。大きなロボットに抱きかかえられるのは、お年寄りには怖いということ。となると、こうしたロボットと人が一緒に暮らせるのか、疑問に思います。介護士ならすっといく動作も、ロボットは時間がかかるので、トイレに行きたいと思ってから動いても、ものすごく時間がかかります。 そこで、私の研究室では、バイオメティックロボティクスという技術で、生体の身体性(筋骨格系の構造)を取り入れた、できるだけ人間に近い安全なロボットの開発を行っています。人の抗重力筋の構造をまねることで、モーターを使っていない状態で、どんな姿勢でも体重を支持できる機械式自重補償装置を作成し、立ち上がりを補助する福祉用車いすへの応用を進めています。人と親和性の高い、危険を与えないロボットが実用的であり、そのために、人に倣い、人のように動かすことで、安心して人とロボットが一緒に暮らせる時代が来ると考えています。日 時2017年10月20日(金)・21日(土)場 所秋葉原UDXサービスロボット【東京会場】サービスロボットの開発について大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部システムデザイン工学科 中山 学之 准教授

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