イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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60 一般的に、ロボットを作るときには、二つのアプローチがあると考えます。一つは、人間と同じように二足歩行できるアシモのような、「限りなく人間に近いロボット」を作ろうとするアプロ−チ。二つ目は、例えば、ホテルで宿泊客の注文に応じて歯磨きを持っていくサービスロボットのような、「こういうことができるロボット」を作ろうとするアプロ−チです。 1番目のアプローチがシーズ先行型であるのに対し、2番目は、ニーズを満たす技術を開発するニーズ先行型です。それぞれに長所短所はありますが、MOT視点からすると、両方のアプローチを満たしている必要があります。技術が先にある場合でも、ニーズを探索していき、両方をキャッチボールしながら開発する。技術はつくるものですが、ニーズをつくるとは言いません。ニーズは発見するものです。それでは、どうやってニーズを探索し発見するのか。 私は、MOTにおいては、ニーズ先行型が薦められると考えます。経営ですから、ニーズがないものを作ってもしようがないのです。そこで、ニーズ探索作業として3点ご紹介します。サービスロボットでいえば、1番目は、サービスの定義をして、ロボットに行わせる方法を考え出す。2番目は、目的展開をする。何のために、何の目的でと自問自答して明確化していくので、「何のため展開法」と、私は呼んでいます。3番目に、既に開発済みのロボットにできるサービスを見つける可能展開法。これができると、何ができるかと考えるので、「できる展開法」と、私は呼んでいます。 できる展開をすることによって、新しいサービスロボットの発想ができやすくなります。あまり意識したことがなかったニーズの発見も、あり得るでしょう。MOT視点から見たロボットの開発は、単に人間型ロボットを開発しようというよりも、人間に役立つロボットを開発しようという考え方のほうが良いと考えます。サービスロボットの開発では、技術開発よりも、まず、サービスのニーズを探索することが重要です。サービスロボット【東京会場】MOT視点から見たサービスロボットの展開早稲田大学 黒須 誠治 名誉教授

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