イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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64 私は、東京大学i-schoolでの教育活動・研究活動と同時に、製品やサービス開発、事業開発のコンサルティングを行うi.labで、イノベーションを専門に活動しています。i.labは株式会社で、i-schoolのディレクター陣と学生が関わっています。 イノベーションは、日本語では技術革新と訳されることが多いですが、必ずしもそうではなく、それが当たり前となり、後戻りできないような状況を作る新しい価値を提供することが本質だと思います。科学技術発のイノベーションが古いと言っているわけではなく、それを補完する方法論として、デザインですとか、社会科学の知見を融合させる形でアイデアを発想し、形にするということです。そして、いいアイデアを出すためには、思考プロセスのデザインが効果的です。 思考プロセスの三つの定石をご紹介します。一つはメタ思考。メタ認知といわれることもあります。そもそもロボットとは何かという定義から考え直すような、高次での思考をいいます。二つ目は、既に存在する情報を組み合わせること。新たな結びつきの所にアイデアが存在し得るわけです。三つ目は、強制的に表を作って、目的と手段の掛け合わせからアイデアを見つける、マトリクスによる強制発想の方法です。 そして、導き出されたロボットを、こういうふうに使うと面白いと思うことを、1個1個付せん紙に書き出し身の回りに貼り付けます。あえて日常の中に貼ることで、何かあるはずと考えて強制的に発想し、価値あるものを発見します。アイデアはプロトタイピングして、ユーザーとコミュニケーションします。ここで大事なことは、どこを改善したらいいですかと聞くのではなく、あなたなら何に使いたいと思いますかと、自由に話してもらうことです。こうしたことを繰り返し、クォリティーを上げて、プレゼンテーションとなります。 イノベーションの教育プログラムとは、単なる人材育成ではありません。そのプロセスそのものが、産業界において、何か新しいアイデアを生み出す機能、一つのプロトタイプといってもいいのではないかと考えています。サービスロボット【東京会場】i-schoolが実施してきたロボットをテーマにしたイノベーション教育の事例東京大学 i-school 横田 幸信 ディレクター

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