イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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 そこで本テキストでは、まずパスツール象限を実現するための方法論として、スタンフォード等で盛んに行われているデザイン思考の考え方、各種ツールを実例を紹介しながらわかりやすく解説をしている。執筆者である大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部松井謙二教授は、パナソニック勤務時代長きにわたってスタンフォード大学を中心としたシリコンバレーという地に駐在をして、世界を変えてきたイノベーション創出の現場を肌で感じ体験をしてきた。その経験と知識をもとに、ややもすれば漠然としてわかりにくいデザイン思考という方法論をわかりやすく解説している。 次に、このデザイン思考の考え方を普及していくことを目的に、日本全国でワークショップ形式の講座を開催したので、その熱い議論の現場を、様々な分野でデザイン思考を研究されている講師の方々の講義資料とともに紹介をしている。取り上げた課題は様々であり、各会場とも課題解決を見つけ出す手段としてチームビルディング形式の演習を実施した。試行錯誤の活動であったが、デザイン思考を核とした課題解決方法の普及活動は着実に成果を上げたと考える。各会場とも明確な結論は出ていないワークショップであったが、それぞれの専門家の先生方の講義内容は大変参考になると考えている。 本書を参考にして、今後もイノベーションを起こすワークショップ形式の人材育成活動を行っていく予定である。その結果得られた、メンターとしての講師と参加者の皆さんの活動成果を順次盛り込み、イノベーションを起こしたいと考えておられる皆様の参考になるようなより実用的なテキストに進化をさせていきたいと考えている。 本NEDO講座のプロジェクト活動は、以上のような課題解決策を見いだすために、方法論としてデザイン思考という考え方を活用し、ワークショップを通してイノベーション創出方法の普及を図ってきた。 そして、イノベーションを起こす人材育成や研究開発プロジェクトの目指すべき方向として、Donald E. Stokesのイノベーションを生み出すパスツール象限の実現を目標としている。このように、今回の我々のNEDOプロジェクト活動はデザイン思考を活用しつつ、イノベーションを生み出すパスツール象限の成果を実現できる人材育成と教育プログラムを構築することにある。5

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