イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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72 今日、多くの製品やサービスがこの10年以内に登場し、政府も創業支援に積極的ですが、なかなか成功しません。アメリカのリサーチでは、スタートアップ企業が失敗する理由の1位は、市場のニーズがなかったというものです。2番目は資金繰りの失敗。製品やサービスそのものが良くなかったというのは、ずっと後の10何位かです。 従来の製品やサービス開発は、技術から製品を生み出していくのが主流でした。現在は、市場ニーズを理解して、アイデアに生かしていくという流れが出てきています。そこで、自分たちが提供する製品やサービスのユーザーのプロファイルを、把握する必要があります。年齢、性別、職業はもちろん、健康状態や勤務地、通勤時間、年収、家族構成等々。このように、できるだけ具体化してユーザーを理解することで、開発のヒントが出てきます。ユーザーを理解するために、ユーザーインタビューという手法がありますが、これは、ユーザーは自分が意識していることしか言語化できないため、ユーザー自身が気付いていない本当の欲求のところを知ることになりません。プロトタイプを見せて、ここはいい、悪いとやって、やっと分かります。 次に、プロジェクトマネジメントについてです。会社の中で新ビジネスプロジェクトをやろうと、期限を決めて人が集められます。しかし、プロジェクトの68%が失敗というデータがあります。多くの場合、プロジェクト範囲を決めるところで失敗しています。そこで、最近増えているのが、ニーズがあるものから順番に作っていく、プロジェクトを走らせながら少しずつ新しいオペレーションに切り替える、ユーザードリブン開発、アジャイル開発といわれるアプローチです。アジャイルとは機敏なという意味があり、早くユーザーに見てもらい、ユーザーの価値を反映させていこうという考え方です。ここで大事なのは、人々が力を合わせてチームワークで、ユーザーにとって価値あるものを継続的に提供するということです。パーソナルモビリティ【名古屋会場】ユーザードリブン開発、アジャイル開発について東京工業大学情報理工学院 森本 千佳子 特任准教授

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