イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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76 トヨタ自動車では、「すべての人に移動の自由を」という方針の下、パーソナルモビリティやパートナーロボットの開発を進めています。医療介護の分野では介護ロボットやリハビリロボットなどの取り組みを進めています。また、弊社工場内では、作業員とともに共存してアシストするロボットが稼働しており、親和性の高さでロボット大賞をいただいております。 当社では、幾つかのモビリティを提案していますが、その中でも歩行領域をカバーするのがWingletです。近年、歩行空間は、大型のショッピング施設や公共施設に見られるように拡大の傾向があります。このような背景の中、Wingletは、ユニバーサルで安心安全な、人と共存できる楽しいモビリティをコンセプトに開発しました。 Wingletは倒立2輪型で、進行方向に対して2輪あり、人の重心が前に行くと前へ、左へ傾けたら左に回るという進み方をするのが特徴です。最高時速は6キロです。主な要素技術は、乗員の足の下に小型の駆動ユニットとタイヤを配置する、独自の構成をしています。駆動ユニットはインホイールのモーターで、小型で高出力の有制限付モーターを用いています。左右の駆動ユニットを平行リンクバーでつなぐという、独自のユニークな車体フレームで、駆動ユニットで荷重を受ける、シンプルで軽量な車体を実現しています。電装ユニットは、両足の間に高密度に配置。小さくパッケージできたことで、占有スペースは自分の肩の範囲に収まるサイズで、歩行者と変わらず、周囲に威圧感を与えません。 Wingletは、現在、公道走行の実証実験段階にあります。将来的には、コンパクトシティーの街づくりが進むとされる中、よりモビリティの存在価値が高まると思われます。社会的な期待も増す中、国内外のベンチャー企業も、続々と製品を出しています。ただ、その中で最も売れているというセグウェイさんでも、この10年間で10万台の販売台数です。この状況は、規制以外にもいろいろ理由があるのではないかとわれわれも考えており、安全性、必然性、普及性をキーワードに取り組んでいるところです。パーソナルモビリティ【名古屋会場】パーソナルモビリティ事業化と要素技術についてトヨタ自動車株式会社 EV事業企画室 釜 剛史 主任

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