イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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 OITは、スタンフォード大学のデザイン思考の流れを取り入れていますので、スタンフォード大学の、デザイン思考の歴史をお話しします。ジョン・アーノルドが、スタンフォード大学で1960年頃からデザイン思考教育を開始したのが最初になります。このジョン・アーノルドが、クリエーティブデザインを始めました。この考え方が、デザイン思考そのものでした。 その後に、スタンフォード大学では、さまざまなデザイン思考のクラスが開講されています。プロダクトデザインや、ロボティクスシステムデザインなど、当時からロボットやシステムデザインとデザイン思考には、強い関係があります。この中で、チームベースのシステムデザインとして、ME310コースが出てきています。ME310は、1970年頃に始まっていますが、これは現在、中心的なプログラムになっており、私どもも、この教育手法を取り入れています。 2005年頃から、HPI(HassoPlattnerInstitute)との連携によって、d.Schoolが立ち上がります。ME310は、スタンフォードの大学院生向けのコースですが、d.Schoolは、企業や社会人、学生が入り交じって、デザイン思考を実践するスクールです。 デザイン思考教育は、1960年から立ち上がり、スタンフォード大では、それが脈々と流れてきていて、最近では、多くの企業が導入しています。さまざまなベンチャー企業が、新しいイノベーションを生み出す仕組みとして取り入れて、現在に至っています。 シリコンバレーのIDEOというデザイン会社の創始者の1人、デビッド・ケリーは、私どもがデザイン思考を学んでいるラリー・ライファーという教授の教え子ですが、このIDEOがデザイン思考で大成功を収め、スタンフォード大の教授となり、d.Schoolでデザイン思考の研究を行っています。 スタンフォード大では、多様性ということを非常に重要視しています。スタンフォード大の学生だけでプロジェクトを走らせるのではなく、必ず、グローバルネットワークのパートナーと一緒になって、課題解決を行います。より多様なアイデアが生み出されるからです。このスタンフォード大のデザイン思考教育のグローバルパートナーで多くの大学が参加しています。例えば、フィンランドのヘルシンキにあるアールト大学デザインファクトリーです。ここでは、まさしくスタンフォード大学と一緒にME310を推進しています。 ME310とは別に独自のプログラムもあり、無線給電のモバイルフォンや、高齢者向けのコートで中にエアバッグが入ったものなど、多くのプロトタイプが生まれています。これらは、PDP(Product Development Project)と呼ばれています。 HPI(HassoPlattnerInstitute)は、ベルリンの東のポツダムという小さな町にあります。こ6デザイン思考とは何か●デザイン思考の歴史●デザイン思考のグローバルネットワーク

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