イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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7こでも、同じようにスタンフォード大と連携して、デザイン思考教育を行っています。ここの特徴は、さまざまな社会人が多く入っていることです。例えば、ある課題を解決するのに、学生のチームの中に銀行員が入ったり、興味を持った社会人が入り一緒に解決をします。 アフリカの、ある団体が依頼してきた課題では、彼らはレゴでプロトタイプを作成しました。アフリカの地域で、輸送手段に関しての検討をプロトタイプで可視化して行っています。ここではプロトタイピングが自分たちのアイデアを可視化して議論する手段として使われています。ドイツテレコムは、このHPIで、いろいろプロジェクトを走らせていました。最終的には、ドイツテレコムのベルリンオフィスの中に、彼ら自身がデザイン思考のオフィスを作り上げました。ドイツテレコムでは、社内のいろいろな課題を持ち寄らせて、専属のチームによって、一緒に課題解決をする組織が出来上がっています。現在、いろんな企業でも同じようなアプローチがあり、例えば、パナソニックでは、誰でも入れるオープンなイノベーションスペースがあります。 OlinCollegeというのが、米国ボストン近郊にあります。これは、プライベートスクールです。オーリン財団は、優秀なエンジニアを育成するために、全米の大学に巨額な寄付をしてきました。しかし結果的に、寄付をしても、自分たちが希望するエンジニアを教育できていないことから、自ら学校をつくったということのようです。このカレッジでは、座学は少なくて、イノベーション人材育成のプロジェクトで課題解決を行っているのが特徴です。その結果、この大学の卒業生は多様な所に出ていっています。例えば、エンジニアのみならず弁護士やミュージシャン、美術家などの多様な進路を選んでいます。以上がデザイン思考の歴史および、グローバルな取り組み状況です。 デザイン思考教育が、なぜ必要かということを、幾つかの角度からお話しさせていただきます。こんなことは、エリートだからできるのではないか、という方がいますが、クリエーティブな人材を育成することが大事なわけで、必ずしも、エリートだからできるわけではないと考えます。最近の記事を見ていますと、大手企業でも、学歴は排除して、多様性のある人たちを集めようという方針が出ており、良い方向だと考えています。なぜ、イノベーションを起こすことができるエンジニアを育成しなければならないのか。それは、私どもからすると、学生の価値を高めるということです。学生の価値を高めるとは、企業が求める人材を輩出することにつながります。 企業が求めている人材とは、トップクラスのリサーチャー(研究者)でしょうか。トップレベルの研究機関であれば、彼らの責務として、ノーベル賞につながるような研究をする、これは間違いないですが、私ども大阪工業大学は、大阪の地域社会で活躍できる有能な人材、エンジニアを育成、供給するのが使命です。これは、私どもの大学の理念です。●デザイン思考教育の必要性

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