イノベーションを生み出す 共創・共感のデザイン思考 NEDO特別講座 ロボットサービス・ビジネススクール 学校法人常翔学園 大阪工業大学
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94図16 その一つの解として、参考になるのは自動車産業の歴史である。図16は、自動車産業の勃興期のイギリスとドイツの対応の違いを示した図である。自動車は大変便利な道具であるが、使い方を誤ると事故を起こす危険な道具である。イギリスは、安全性ばかりに目がいき、自動車の利便性に目をつぶった結果、赤旗法という法律を策定し、赤い旗を持った人が先導しない限り市内を自動車が走れないようにした。一方、ドイツはアウトバーンを建設し、規則はあるが原則速度無制限で走れる自動車用道路というインフラを整備した。その結果、現在ドイツの自動車メーカは、世界で冠たる地位を築いていることは皆さんご存じの通りである。イギリスの自動車メーカと言われても、すぐにはピントは来ないのではないだろうか。ドイツは自動車産業というイノベーションを生み出し一大産業として育成し成功させたのである。この事例を、サービスロボットの普及においても我々は大いに参考にする必要があると考えている。 今ひとつは、介護現場とからという発想をいったん横に置いておいて、若い健常者も使える介護ロボットというものはないのだろうかという発想が重要ではないかと考えている。図17は、自転車は不安定な乗り物であるが、利便性が高く老若男女すべてが利用するモビリティである。図18の老人用の歩行アシストも自転車、バイク、自動車を補完する第四のモビリティになれば普及が一気に進むと思われる。それを見つけ出せれば、第四のモビリティとしてのイノベーションが生み出され、結果として高齢になって歩行に支障を来す状況になったときにも、お洒落で生き生きとして歩行アシストロボットを利用する社会を実現できるのではないかと考える。

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