生物圏気象環境学 研究室
Meteorology of Biosphere Environment

大阪工業大学工学部環境工学科

Department of Environmental Engineering, Osaka Institute of Technology


トップページ   研究内容   スタッフ

 

@壁面・屋上緑化による暑熱環境改善効果の評価に関するテーマ


国土交通省の調査によると壁面緑化の施工面積は、2000年から2009年までに31万7千m2を超え、これは東京・日比谷公園の約2倍の面積に相当します。オープンスペースが少ない都市域では、ヒートアイランド現象を緩和し潤いのある都市空間を形成するために、都市緑地の整備とともに建築物に植栽を施す、屋上・壁面緑化の普及が推進されています。研究室では、こうした都市に点在する緑地や緑化物によって得られる暑熱環境の改善効果を、物理的な過程を考慮した総合的かつ定量的な評価方法を研究しています。

写真1 壁面緑化実験(大宮校地9号館)

写真2 大規模屋上緑化建築物の屋上における気象観測(アクロス福岡)



A ヒートアイランド現象の実態調査に関するテーマ


最新の気象観測によると「地球温暖化」によって、世界の陸上における年平均気温は、ここ100年間に約0.8℃上昇したと報告されています。しかし、日本の主要な大都市を見るとその気温上昇率は最低でも2.1℃以上、大阪と東京はそれぞれ2.9℃、3.3℃にも達しており、熱中症などの健康被害、サクラの開花時期がずれるなど生態系の撹乱、さらに大気汚染、都市型豪雨、電力消費量増加など、様々な影響が懸念されています。研究室では、都市域における放射量や気温の分布などを実際に観測し、ヒートアイランド現象の実態を把握するための研究をしています。

写真3 市街地域における気象観測風景(福岡市)

写真4 中国におけるヒートアイランド調査(吉林省長春市)



B 都市域の水資源に関するテーマ


屋上・壁面緑化は、暑熱緩和効果に加えて都市空間に緑地を拡大する手段として、有望視されています。しかし、緑化物の急速な拡大は、一方で生活用水や工業用水など都市機能に直結した水資源を逼迫させる危険性があります。例えば、東京都の「緑の東京計画」では、15年間で1200haの建築物緑化整備を目標としていますが、単位面積当たりの日蒸散量を5mmとしても夏季(7〜9月)のみで600万立方メートルの水需要が生じる計算となり、これは東京都全体の1.5日分の水消費量に相当します。研究室では、雨水利用型の大規模屋上緑化建築物や一般家庭向けの壁面緑化について、水収支を評価し緑化植物が必要とする水使用量を算定する方法について研究しています。

写真5 雨水利用型屋上緑化における調査



C 砂漠化、環境保全などに関連したテーマ
その他、地理情報システム(GIS)、人工衛星データ、定時気象観測データなどを使った、地域環境モニタリングに関する研究テーマを扱っています。