大阪工業大学 工学部環境工学科 循環基盤工学

廃棄物燃料での燃焼計算

下記の組成から燃焼計算を行います｡

表 廃棄物の組成

__________________________________

工業分析

□水分□□□26.6%

□可燃分□□51.2%

□灰分□□□22.2%

元素分析値

□水素(原子量1)□□□2.40%

□炭素(原子量12)□□24.0%

□塩素(原子量35.5)□0.476%

□硫黄(原子量32)□□0.143%

□窒素(原子量14)□□0.750%

□酸素(原子量16)□□23.3%

__________________________________

計算の方針

全体を1000 gと仮定して計算する｡

モルの概念を使わない方が間違えにくい｡

ガス量を標準状態で表現する｡1 mol = 22.4 L(N)

排ガス量をgとL(N)の両方で計算する｡

1000 L(N)の空気 = 300 gのO2 +790 L(N)のN2である｡

最初に空気比1で計算する｡

任意の空気比で計算する｡

元素ごとの計算

(HからH2O)

Hは24 g存在し､これは､H2O 216 gに相当し､その差 192 gのO2を必要とする｡水分があらかじめ､266 g存在するので､H2O量は482 gで､その体積は 600 Lである｡

計算根拠

□□

(CからCO2)

Cは240 g存在し､これはCO2 880 gに相当し､その差 640 gのO2を必要とする｡CO2の体積は､448 Lである｡

計算根拠

□□

(ClからHCl)

Clは4.76 g存在し､これは､4.894 gのHClに相当し､O2を必要としない｡HClの体積は､3 Lである｡

計算根拠

□□

(SからSO2)

Sは1.43 g存在し､これはSO2 2.86 gに相当し､その差 1.43 gのO2を必要とする｡SO2の体積は､1である｡

計算根拠

□□

(NからN2)

Nは7.5 g存在し､これは､7.5 gのN2に相当し､O2を必要としない｡N2の体積は､6 Lである｡

計算根拠

□□

空気比λ =1のとき

(供給されるO2とN2)

廃棄物燃料にあらかじめ含まれるOは233 gであるが､上記の燃焼で必要なOは､600.43 gであり､その差､367.43 g1のOは空気から供給されなければならない｡供給される空気に含まれるN2は1581 Lである｡なお､O2は残らない｡

計算根拠

□□

(ガス量)

(w) H2O + CO2 + HCl + SO2 + N2(from fuel) + O2 + N2 = 2639 L

(d) □□□□CO2 + HCl + SO2 + N2(from fuel) + O2 + N2 = 2039 L

空気比λ =1.48のとき

(供給されるO2とN2)

燃焼で消費されるOは､600.43 gであり､その1.48倍の空気を供給する｡供給される空気に含まれるN2は1581 Lの1.48倍であり､全量が残る｡O2は､600.43 gの(1.48-1) 倍すなわち､202 Lが残る｡

計算根拠

□□

(ガス量)

(w) H2O + CO2 + HCl + SO2 + N2(from fuel) + O2 + N2 = 3600 L (湿ガス量)

(d) □□□□CO2 + HCl + SO2 + N2(from fuel) + O2 + N2 = 3000 L (乾ガス量)

(ガス組成)

ガス水分 : 湿ガス3600 Lのなかに､H2Oが600 Lあるので､ガス水分は､16.67%

O2 : 乾ガス3000 Lのなかに､O2が202 Lあるので､202/3000=6.67%

HCl : 乾ガス3000 Lのなかに､HClが3 Lあるので､3 000mL/3000 L = 1000 mL/m3 = 1000ppmVである｡

(HClのO2 12%換算値)

により､630ppmを得ます｡

これは､空気比 λ =2.3584のときの計算結果(乾燥空気量 4758 L(N))と一致します｡

表計算

計算シートの例を､以下に､示します｡

(おわり)

□□□□□