NaOH水溶液が気中CO₂と平衡になったとき □□NaOH solution Equilibrated by Atmospheric CO₂

水酸化ナトリウムのpHが低下する現象

調製した水酸化ナトリウム水溶液は､大気中CO₂を吸い込んで中性化します｡平衡時のpHを推定しましょう｡ここで､水酸化ナトリウムの初期濃度を0.002 M(pH 11.3)としましょう｡

関連する化学平衡式は下記の通りです｡LLNL thermoを使用しているため､CO₂(g)も､CO₂(aq)同様､HCO₃^-をbasis speciesとして記述します｡

電荷のある化学種の濃度は､

ですから､

電気的中性の式:

を書き換えると､

代入していくと､やや､絶望的な式になります｡

この式に､p_CO2(g) = 400 ppm = 400×10^-6 atm, [H₂O]=1を代入して[H⁺]を求めることができます｡

0.002 MのNaOH水溶液(初期pH 11.3)は､大気中CO₂による中和で､pHは､8.5まで低下します｡

同様に､

0.005 MのNaOH水溶液(初期pH 11.7)は､大気中CO₂による中和で､pHは､8.9まで;

0.01 MのNaOH水溶液(初期pH 12)は､大気中CO₂による中和で､pHは､9.2まで;

低下します｡

絶望的な繁分数の方程式を回避する方法はないのですか?

あります｡対数のままで計算すると､表計算ソフトでの繰り返し計算が容易になります｡大気中のCO₂(g)の分圧は固定値ですから､

によって､[CO₂(aq)]の値は固定されます｡P_CO2(g) = 0.0004 なので､[CO₂(aq)] = 1.36 ×10^-5に固定されます｡さらに､

によって､log [HCO₃^-] は､pHの関数に､

によって､log [CO₃^2-] もpHの関数になります｡

すると､電気的中性の式は､pHによって一義的に決まる関数になるので､電荷= f(pH)とおいて正負が逆転するところを探すと､｢pH 8.45から8.5の間｣を得ます｡

これなら､表計算で計算することができます｡

(おわり)

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