k_Laは時間あたりの変化率 □□k_La is Rate per Unit Time

(曝気時の水中O₂濃度)

曝気によるO₂吸収を考えます｡水中のO₂濃度C(初期値は0)は､飽和値C_∞に漸近(ぜんきん)します｡下記の例では変化率r = 0.05 で作図しました｡

槽内の水(初期のO₂濃度は0)の表面からO₂が供給される場合を考えます｡これを表面曝気と言います｡気中O₂濃度は一定で､水中O₂濃度は､初期には0で時間の経過とともに気液接触面からO₂が水中に移行して､最終的には平衡状態になります｡下記の例では変化率r = 0.05 で作図しました｡

変化率rは､0.05に固定されたものではなく､気液接触が激しければrは大きく､穏やかであればrは小さくなります｡rが大きいほど､速くC_ooに到達しようとします｡

(微分方程式の係数を比較する)

上記の2つを比較すると､r = k_L(A/V)であることが分かります｡

この変化率の意味を考えてみましょう｡dC/dt すなわち､濃度の変化率は､C_oo-C すなわち｢飽和値と現在値の差｣に比例し､その比例定数がrです｡r=0.05 min^-1ということは､1 分あたり5%変化するという意味です｡C_oo=8 mg/L(溶存酸素飽和値)初期C=0であれば､最初の1 分でで8×0.05=0.4 mg/Lの濃度上昇が起こるという意味です｡1分後には0.4 mg/Lになりますね｡次の1分では､(8-0.4)×0.05=0.38 mg/Lの濃度上昇が起こります｡2分経過後には､0.78 mg/Lになります｡3分経過後は､(8-0.78)×0.05=0.361 mg/Lの濃度上昇が起こり､0.78+0.361=1.141 mg/Lになります｡この勢いで飽和値の1/2である4 mg/Lに到達するのは､0.693/0.05=13.86 minです｡

変化率r=k_L×(A/V)のA/Vに着目しましょう｡表面曝気であればV/Aは水深です｡r=k_L/(水深)､すなわち､たとえば水深50 cmで16 cmまでO₂が届くのであれば32%､すなわちr=0.32ということになります｡水深が小さければ､rは大きくなります｡k_Lは単位時間あたりにO₂が到達する深さ(単位は､[m/s]や[cm/h]で表現されることもあります)であると見なすことができます｡

変化率r=k_L×(A/V)のA/Vは､表面曝気だけではなく､気泡による曝気であれば､水単位体積あたりの気液接触面積であると見なすことができます｡

実践的には､k_LとA/Vを別々に表現する必要はなく､k_Laとして､一括で表現され､総括物質移動容量係数と呼ばれます｡大文字のKやイタリック文字がつかわれることもあります｡

O₂曝気でk_Laが大きければ､その曝気はO₂供給能力が高いということになります｡注意しなければならないことは､供給したO₂量が全て利用されているとは限らないことです｡曝気で供給したO₂のうちの何%が水に溶け込んだかの情報は入っていません｡k_La は水中のO₂の濃度が何%ずつ変化していくのかを表しているのであって､供給された空気(O₂)が効率よく取り込まれようが､無駄に捨てられようが､その情報はk_Laには含まれないのです｡

(おわり)

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