ストリーター･フェルプスの再曝気係数 k₂とは □□□Reaeration rate “k₂” in Streeter ー Phelps Equation

溶存酸素の変化式と再曝気係数

ストリーター･フェルプスの式は､河川が有機汚濁物Lで汚染されて溶存酸素(DO O₂(aq)のこと､式ではC_O2としている)が0になった後､流下に従って表面から供給されるO₂が､残留する有機汚濁物によってDOがさらに消費されつつも､次第にDO値が上昇し､最終的には有機汚濁物が0となって､DOが飽和値に近づくという式です｡

k₁×Lの項は､残留する有機汚濁物によってDOがさらに消費されることを､k₂(C_O2sat- C_O2)の項は表面から供給されるO₂のことを表しています｡k₂を再曝気係数といいます｡

たとえば､下記の文献では､実測値でk₂=0.5 h^-1を報告しています(平均水深25 cm､流下長 800 m)｡

萱場祐一(2005)溶存酸素濃度の連続観測を用いた実験河川における再曝気係数,一次生産速度及び呼吸速度の推定.陸水学雑誌 66:93-105

k₂=0.5 h^-1の意味は､｢1 hあたり50%｣の意味です｡単位を min^-1に変換した方がイメージがわきやすいです｡k₂=0.5/60=0.83% min^-1ですから､初期値が0 mg/L､飽和値が8 mg/Lであれば､

1分経過後 0□□□+ (8 - 0) × 0.0083 =0.0664 mg/L

2分経過後 0.0664 + (8 - 0.0664) × 0.0083 =0.1322 mg/L

3分経過後 0.1322 + (8 - 0.1322) × 0.0083 =0.1975 mg/L

4分経過後 0.1975 + (8 - 0.1975) × 0.0083 =0.2622 mg/L

･･･

解析解は次の通りです｡

C(t) =8 ( 1- e^-^0.0083t) mg/L

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です｡

k₂には水深が関わります｡気液接触面積とその状態､すなわち､O₂溶け込み速度が同じであれば､河川が浅いほどDOの上昇は速く､深いほどDOの上昇は遅くなります｡

ここまでの話を1枚の図にまとめました｡

k₂ 再曝気係数 reaeration rate (もしくは reaeration coefficient)は､総括物質移動容量係数 k_Laや､物質移動深さk_Lよりも古く､1925年の米国公衆衛生レポートが出典です｡

Streeter HW, Phelps EB (1925) A study of the pollution and natural purification of the Ohio river: III Factors concerned in the phenomena of oxidation and rearation. Public health bulletin No 146, United States public health service

(おわり)

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