建築・都市デザイン工学専攻 大学院:工学研究科(博士前期・後期課程)

建築学コース

建築学コースでは、建築学の各分野において、幅広く、かつ、専門性の高い知識、方法論および倫理観を身に付け、建築に対する社会の要請を主体的に見出し、その解決に携わるための能力を高めていきます。

地震時の部材応力を再現できる加力装置を活用し、高度かつ正確な構造実験を行う。
建築構造の部材や骨組等の定量的な構造性能評価法を確立するために、本コースでは教員と大学院生が一丸となって構造実験を行っています。柱RC梁S接合部やRC柱、鉄骨造ブレース、鉄骨造柱脚あるいは免震・制振装置等を対象とした実験結果は国内外に論文発表され、研究成果は社会に活用されています。
地震防災を向上させるため地震動の解析や免震・制振構造、耐震補強の実験を行う。
地震による建物被害を低減し建物の機能を維持するために、地盤条件を反映した設計用地振動の推定精度や地震動による建物の振動特性の解析精度を向上させています。また、免震装置の残留変形予測、地盤との動的相互作用を考慮した制振建物の内部粘性減衰モデルの評価あるいは液状化を考慮した地震波の簡易評価法等の解析技術の向上も図っています。
リアルな設計思考と概念的なアイデア発想の両輪を培う設計能力の開発。
本コースでは、学外で行われるアイデアコンペの積極的な参加を通じて現代社会において常識とされていることに疑問を投げかけ、新たな未来を切り開く設計思考を養います。それらの概念的発想の醸成とともに、リアルな設計活動に通用する能力の開発にも力を入れます。基本設計図とともに仕様書から詳細図までを作成する建築スタジオ実習や、即日設計課題演習を通じて短時間で与件を読み取り設計案を作成できる能力を養います。
数値流体工学シミュレーションによる環境の可視化を通して新たな設計手法を提案。
建築の実施設計時においてCFD(数値流体工学)などのシミュレーション技術の適用を通じて社会に貢献したり、企業の方々と協働で建築環境設計における「逆解析」の活用法を研究したりしています。近年は研究対象を都市に広げ、都市計画の専門家と環境性能を担保した街区設計の在り方について検討したり、駅前空間の風環境の可視化を通じて、より快適な都市空間の設計手法の研究をしています。
社会性の高いプロジェクトに参画し、培った技術や研究を社会で実践する。
机上にとどまらず、社会のリアルな現場に出て技術や研究を実践してみることは、建築学を学ぶうえで大切です。本コースでは、研究室ごとに様々なプロジェクトに参加しています。なかでも、奈良県川上村にて大規模に取り組んだ、廃校の小学校をリノベーションする活動もこうしたプロジェクトの一環です。他にも、徳島県佐那河内村での旧家再生事業や団地再生プロジェクトなど、積極的に社会に関わりながら研究を進めています。