SPECIAL DIALOGUE

これからの知財分野には、戦略的な思考に幅広く対応できる提案力が求められます。

大学時代に培った、何ごとにも全力で取り組む姿勢が社会で役に立っています。

大阪工業大学の卒業生は、実学教育により育まれた社会での適応力、そして専門職業人として知識を発揮できる即応力が企業から常に高く評価されています。大阪工業大学で成長した学生たちは、社会に羽ばたき、どのようにして活躍しているのか、花王株式会社で入社4年目を迎える梶田広人さんを訪ねました。知的財産部に配属された梶田さんが、在学中に培われた知的財産分野での専門性を発揮しての活躍ぶりに触れながら、知的財産部の上司である岩佐博之さんと、知的財産の実際と今後求められる人財像などについても語っていただきました。

知財の知識が総合的に
学べることが大きな強みに

私が知的財産分野に興味を持ったのは、大学進学時に高校の先生からアドバイスをいただいたことからでした。進学後、知的財産について体系的な知識が学べたことと、実務で役立つ知識が得られてよかったです。大学院でも、さらに深い知識が得られました。
梶田くんは、知的財産学部の出身だったことから、弊部でも何年か振りの新卒採用でした。学生時代から知財の知識を身に付けていることもあって、まったく一から教えなくてもよかったので、我々としては楽でしたよ。
知財に関する一般的な法体系が学べたのは大きなメリットだと思います。また実務的な授業では契約書の読み方についてなど、実際の企業で働く際に役立つ知識が総合的に学べました。
大阪工業大学には、日本で唯一の知的財産学部があるということから、大学の企業説明会に参加させていただきました。将来有望となる知的財産分野のエキスパートを求めていたこともあり、つながりができて良かったと思っています。
当時はまだ、知的財産職を募集している企業はあまりなかったのですが、企業説明会に参加されていた企業のなかから、花王は取扱製品が膨大かつ多岐にわたっていて、色々な経験ができるのかなという期待と、在学中に学んだスキルによってどれだけ成長できるのかということでご縁をいただいたのが入社のきっかけです。先生方の手厚い就職サポートにもかなり勇気をいただきました。
梶田くんは知財知識のベースはもちろんあるのですが、私が伝えたことを理解するだけでなく、目的も理解した上で不明点などはしっかりと調査してくれるなど、丁寧なだけでなくプラスαのアウトプットを出してくれていますね。コミュニケーション能力があるので、実は発明者さんからの信頼も厚いですよ。

あらゆる学びとコミュニケーション力が
社会で役立つ

大学のときは、部活やアルバイトにも励んだことが、コミュニケーション力の向上に役立ったのかもしれません。ソフトテニス部と知財推進部という、体育会系と学部の課外活動を掛け持ちしながら、アルバイトも週4日以上していましたので忙しいことには慣れていました。そういったマルチタスク的な動きは仕事にも生かされていると思います。
企業人は時間が限られているので、やはりそういった考え方や心構えは重要です。本人にもメリットになりますし、知的財産部でも今後はあらゆる方向性での思考が必要になってきますので、それに対応できる知識と素養を学べる大学というのは、いいなと思いますね。
あと、わからないことをすぐに人に聞くのではなく、まずは自分で調べて、考え方も含めて質問するように心掛けています。学生のときから、先輩や教授によく聞いていたのですが、そうしたことも、いま研究員さんとの意思疎通を取り合うという意味でもよかったと思いますね。
知的財産部では、現在、発明の出願・権利化や弊社商品が特許侵害していないかを判断する特許クリアランスを主に行っているのですが、近年は知財ミックスという考え方を戦略的に使うことも重要視されてきています。一方で、将来的には他社や異業種との共創も視野に入れたオープンイノベーション思考でより良い事業を進めていくことが必要となり、IPランドスケープという知財関係の解析を活用して、花王の事業戦略、経営戦略についても知財の観点から積極的に提案していくというようなことが重要になってきています。そういったスキルが今後は求められてきますので、知的財産部でも幅広い業務に対応できる人財が必要になってくると思います。

学生時代ならではの
様々なチャレンジをして欲しい

「文武両道」が僕のモットーで、大学のときから実践しています。勉強も部活もアルバイトも遊びも常に全力で取り組んできましたので、学生さんには学業も遊びも両方楽しんで、いろいろな経験をして欲しいですね。
そうですね。大学時代には、人としての幅が広がるような勉強以外のいろんなチャレンジをして欲しいと思います。起業するぐらいの積極性を持って欲しいですね。
あと、大阪工業大学には工学部など理系の学部もあるので技術にも触れることができ、また知財のなかでも興味ある分野が研究できる恵まれた環境におかれていることも理解した上で、大いに活用して欲しいです。私もOBとして、これからも頑張ります。