国境を越えた研究室活動を通して、
自分の想いを伝える大切さを実感した

profile

ものづくりが好きで、将来は技術職に就きたいと考えていました。工学関連の学びが充実しており、就職率の高いところに惹かれ、大阪工業大学へ。食品と医薬品に興味があったため、両方の分野を学べる応用化学科を選びました。

私の研究テーマは接着剤。一般的な一液型硬化剤は、硬化剤を混ぜ合わせる必要がなく、すぐに使用することができますが、固まりやすく輸送コストが高いという欠点があります。そこで着目したのが、100度以上に加熱されることで固まる性質を持つ熱潜在性硬化剤。接着剤として利用できるよう、試薬の温度や種類、数を調整するなど実験を重ねました。特に印象に残っているのは、なかなか予想通りの結果が出ず、研究の進め方を試行錯誤していたとき、先生からかけていただいた「うまく行かない状況にも意味がある」という言葉。壁にぶつかって諦めるのではなく、そこからどう対処することが大切だと学びました。

また、研究室の取り組みでバングラデシュの大学生とオンライン交流したことも印象に残っています。半年間にわたり、週に2回、プラスチック問題についてそれぞれの立場からディスカッション。バングラデシュ人2人、日本人2人でチームを組み、意見をまとめて資料を作成し、最終回ではプレゼンテーションを行いました。交流を通して体感したのは、バックグラウンドや文化の違い。特に、発表準備の際の時間感覚の違いには驚きました。私たち日本人は余裕をもって作業を完了させ、余裕をもって発表に臨みたかったのですが、バングラデシュ人のタイミングは日本人より一歩遅く、かなりタイトな期間で準備することに。そこで「言わなくても分かってくれるだろう」という思い込みを捨て、自分の考えを伝えたところ、互いに歩み寄り、着地点を発見。物おじせず発言することの大切さを学んだ経験です。

卒業後は製薬会社に就職。開発グループ内で意見発信や疑問点の確認を積極的に行いながら、私の開発した薬で病気に苦しむ人々を一人でも多く救いたいです。