一人ひとりに適切な「音量」で音楽を楽しむために
「音」への関心から学びの範囲が広がる

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中学生の頃からクラシックギター部に所属し、様々なホールで演奏してきました。ホールの広さや設備、室内の形状などによって音の聞こえ方が異なってくることに興味を持ち、そこから演奏の魅力を引き出す「音響」に関わりたいと思うようになりました。大阪工業大学には「音響工学」に関して学べる学科・研究室があることを知り、進学を決めました。

音楽が好きで、楽器を演奏しているものとして、鑑賞の環境にはこだわりたいという思いから、研究室では「音響と残響」をテーマに、楽曲の残響と個人の音量レベルとの関係を調べることで、どんな場所でもその楽曲を最適な形で聴くことができるように研究しています。人々が音楽を連続して聴くとき、自分が「最適」に感じる残響や音量は、各楽曲に合わせて自分で調整しなければなりません。これを自動的に推定し、調整することができれば、より質の高い楽曲の楽しみ方ができるはずです。現在は数多くの人に残響時間を変えた楽曲を音量調整しながら聴いてもらい、その人の最適な音量と残響との関係を探るためにデータサンプルを収集中。この研究が将来、人に合わせて適切な音量に調節するシステムづくりに繋がることを願っています。

大学に入学したとき、私の興味は「音響」だけにありました。しかし、ロボット工学科や空間デザイン学科の学生とともに合同で知育玩具を制作する演習やCAD、プログラムなどの学修を体験するうちに、この大学ではそれまでの自分が「学びたい」と思っていたこと以上のことを学べることに気づきました。様々な学びから得られた「デザイン思考」のおかげで、建築と音を組み合わせることや、施設のデザインと音の関係など、興味や関心の範囲がとても広がったと思っています。

内定先は音楽のホールだけではなく、アミューズメント施設、美術館、会社の会議室などの「音響」全般を幅広く手掛ける企業。こうした企業を選んだのも、「音響映像システムの設計」という分野に興味が広がったからです。自分自身が考えたシステムを実現し、ひとりでも多くの人々に感動や喜びをもたらすことが、私の目標です。