最優秀賞は「菜の花食堂混雑状況確認アプリ(web)」に決定!
10月24日、オンライン城北祭にて行った表彰式では、最優秀賞「菜の花食堂混雑状況確認アプリ(web)」、グッズ部門優秀賞「MSOE(Motion Switch of Elevator)」、ライフスタイル部門優秀賞「コロナ禍における運動不足解消を目的とした体操促進アイテム」、その他特別賞10作品が益山学長によって表彰されました。
グッズ部門最優秀賞
梅田キャンパス21Fにある「菜の花食堂」の混雑状況やその日のランチメニューを、どこでもだれでも確認できるアプリケーション。関連サーバとの通信、来店者数カウントセンサーの設置などアプリの実装にあたって各種システムも構築。
昨年末に制作した「菜の花食堂空席予約アプリ」の仕様を変えて、つくり直したのが今回のアプリです。
一般の方も利用する「菜の花食堂」は梅田駅から近く、ランチタイムになるといつも満席だったため使い勝手のいい予約アプリをつくったのですが、開発から間もなくコロナ禍の影響で食堂に来るお客さんが減ってしまいました。
そこでせっかくつくったアプリがムダになってしまわないように、一度つくったものをつくり変えることにしたんです。やり直しではありますが、作業は苦ではありませんでしたね。
ものづくりは身の回りのことをいかに解決するか、普段から疑問を持つことが大事だと教わっていたので、一度開発したものに手を入れるのは自分にとってやりがいがあることでした。
また自分自身がいつも利用していた菜の花食堂に、何か貢献できないかという思いもあったので、今回のコンテストはいい機会でした。
仕様変更では、食堂を管理・運営する㈱常翔ウェルフェアの方と打ち合わせをして、現場の声をヒアリングしました。
改善のポイントはいずれお客さんが戻ってきた時に「密」を避けたいというユーザー心理がはたらくことを想定して、リアルタイムで混雑状況が把握できるサイトをつくること。そして、日替わりランチメニューを表示する機能も実装させて、集客力アップにもつなげること。これらを満たせるように仕様を固めて、実際の作業をはじめました。
ただ、4年生で卒業研究もあったため、とにかく時間がなく、プログラミングは土日に15時間くらいぶっ通しでやり続けて完成させました。コーディングをしている間は没頭するタイプなので、はじめに開発スケジュールを立てた時は何とかなると思っていましたが苦労しました。あと、ハード面の制作はやってみないとわからないこともあり、特に人数カウントセンサーの制作ではうまくいくか不安でしたね。
幸い過去の講義で学んでいたセンサーの知識のおかげで、すんなり動作確認ができて良かったです。実際のコンテストでは外部の技術系の方もいろいろ興味を持ってくださったので、今後、このアプリが実際にどんなところで使われていくのか楽しみです。
講義で学んだことが、そのまま今回のアプリ制作に応用できているかというと、自分で独学している部分が多いためそうとは言えません。
ただ、ものづくりにおける「デザイン思考」の講義はとても役立っています。センサーの試作では「ラピッドプロトタイピング」という手法を採用し、形にすることを優先したんですが、それも講義のおかげです。装置の制作費を6000円に抑えることができたのは、「安く・早く・役立つ」実践的な大学での学びがあったからですね。
また、様々なプログラミングを習得する上で、1~2年生の頃に学んだプログラミングの基本的な構造や考え方は、とても有意義だったと思います。
グッズ部門優秀賞
上がる時も下がる時も、手をかざすだけで操作が完了する非接触型のエレベーター上下パネル。ボタンの凹凸がない、簡単に消毒や清掃も行えるフラットなデザインが特徴。
新型コロナウイルス感染症の影響で接触感染が問題になる中、「トイレは自動で流れるのに、エレベーターのボタンは押さないといけないものばかりだな」と思ったのが、開発のきっかけです。
非接触型にするにはセンサーが必要なのですが、それを実現するための構想はすぐにイメージできました。センサーには大きく2種類あって、赤外線センサーは明るさに影響をされるので夜間に暗くなるエレベーターホールでは使いにくいから却下。
一方、静電容量型近接センサーは電気を通すかどうかで反応し、自動車の自動ブレーキにも使われるほど実用性も高い。だから静電容量型を採用することにしました。これらの知識は実際に大学の講義で学んだことです。
試作では、10センチくらいまで手を近づけたら反応するセンサーを1500円で購入。もっと感度の高いセンサーであれば10センチ以上離れても反応しますが、必要最小限の感度が確保できればいいのでやめました。本当はもっと安くしたかったんですけど、量産できればコストダウンも可能になると思います。
ハード面で特にこだわったのはフラットなデザインです。世の中にある優れたモノは、どれもデザインがいいですからね。消毒や掃除がしやすいように、アクリル板1枚でフラットにしました。簡単につくれるように使う部品もできる限り簡素化していて、表示部分のLEDは大阪工業大学から支給されるものを活用しています。
簡単なIF文でプログラミングしているので、だれでもつくれますよ。開発日数は3日ほどです。スピーディーに開発できたのは、日頃からいろいろものづくりについて考えていたからだと思います。
私には家電メーカーを起業する夢があるんです。だから今回のものづくりコンテストは腕試しのつもりで参加しました。小さい頃から不要になった家電を分解したり、高校の時には「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」に参加したり、ずっと何かをつくることが好きで、この大学ならそんなものづくりをもっと深められると思って入学したのが4年前。そして今年、こういう機会が設けられてうれしかったです。
どうすれば起業できるか、いつも考えていますが、やはり「デザイン思考」の講義から受けた影響は大きいですね。今はまだ夢に向かって準備の段階ですが、オリジナルの製品で世の中を変えたいと思っています。
ライフスタイル部門優秀賞
姿勢推定モデルの技術を生かした「ラジオ体操」の評価システム。特に腕の動きを数値化して解析し、その結果を「Excellent」「good」「bad」の3段階にわけて表示。
八原さん
コンテストへの応募は、私が過去にゼミで取り組んだラジオ体操の「姿勢推定」を生かせないかと、担当教員から持ち掛けられたことがきっかけです。
「姿勢推定」とは、画像や映像などの2次元のデータを3次元のデータに変える技術で、人がどんな動きをするのか予測したり、ゲームのリアルな動きに活用したり、様々なところで研究が行われています。
今回はその研究成果のひとつとして、単にラジオ体操をするのではなく、カラオケの採点システムのような評価の仕組みを取り入れ、楽しく運動不足が解消できる仕様にしました。
山田さん
私が担当したのは、その採点システムの部分です。理想的な動きと、実際の動きがどの程度一致しているか、データを解析して判定するための仕組みをつくりました。人の動きは予測不能で、数値上では様々なデータが出るため、異なるシステムをひとつにするのは思ったよりも難しかったですね。
普段の研究では、舞踊などの舞台芸術で演者の表情がどんな感情を表現しているのか研究しています。解析・評価する技術にもいろいろありますが、何をどのように評価するか、判断する上で勉強になりました。
池本さん
私は今回、企画段階でそれぞれの技術をひとつにすれば、何ができるか意見を出しました。コロナ禍で密を避けなければならない状況で、どこでもひとりで運動できる仕組みづくりができたのは評価に値すると思います。
八原さん
正直なところ、今回の仕組みは私一人ではとうてい実現できませんでした。山田さんの解析力があって実現しましたし、池本さんにもチーム全体を後押ししてもらえて助かりました。
大学院生としての研究が日々あり、限られた時間しか開発に費やせませんでしたが、この経験を今後も生かしていきたいです。