System Control Lab

Communication and Control Laboratory

 

近年研究されているテーマ

「ロバスト安定性を考慮したEMMの設計」

 私たちの研究室では、EMM法の可能性を更に拡張する研究をしています。EMM法とは、制御対象といくつかの制御器を使って、制御系全体を希望する伝達関数にする制御方法を言います。(このEMM法を使って構成した制御系をEMM系と呼ぶことにします。)研究の主な目的は、EMM系において実際の制御対象とそのモデルにモデル化誤差が生じても簡単に安定性を保証することです。このことをロバスト(頑強な)安定性があるといいます。
 私たちの研究室ではこのEMM系にロバスト安定性を付加するため、オブザーバに相当する多項式を冗長化することによって生ずる自由度を利用しています。
 EMM系のロバスト安定化は、他の方法としてH∞制御などとの融合によって達成することができますが、計算が非常に困難なリカッチ方程式を解かなければいけないため、計算時間が増加します。。。
 その問題を解決する方法として、状態方程式で記述した制御系を拡張割算アルゴリズムを利用します。拡張割算アルゴリズムを使うことによって、簡単な行列で記述することができ、計算機に負荷を掛けることなく解が簡単に求まります。
 研究では主に、設計した制御系をMATLAB/Simulinkという制御系CADのシミュレーションソフトを使うことで、評価しています。
 理論と実践(ここでは、シミュレーション)を利用する双方向の研究を推し進めています。

「インタラクタ行列の簡単な導出法とその応用」

EMMを多入力多出力システムに適用しようとするとき、厄介な問題が出てきます。伝達関数の分母多項式と分子多項式の次数の差(相対次数と呼ばれます)がEMM法では重要なのですが、この次数差を表すのに一入出力系では適当な漸近安定な多項式を使えば良いのですが、多入出力系では多項式を要素とする行列となります。これがインタラクタ行列と呼ばれるのですが、その計算はかなり大変です。

 伝達関数のパラメータが良く分からない状況で入出力のデータから制御器を推定しようという、適応制御では制御器の計算のためにあまり時間を割くことができません。したがって、インタラクタの計算は簡単であることが望ましいことから研究は始まりました。そして、ある種の代数方程式を擬似逆行列を使って解く程度の計算で求める方法を開発しました。

 インタラクタ行列は、自由に設置できるパラメータをある程度、持っていますので、私たちの研究室で開発された方法以外のでも求められますし、値も変わってきます。けれども、私たちの方法のインタラクタは一つの便利な性質を持っています。そして、その性質は、ある種の最適制御問題と深く関係しているようなのです。

 インタラクタと最適制御、一見何の関係もないようなこれらの問題が実は密接に関連している、こういったことを発見するする度に自然って不思議だなあ、考えるって素晴らしいなあと思います。

 

 

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