生命環境学研究室の大学院生だった平野昂太郎(現所属:日立造船)と原拓也(現所属:環境総合テクノス)の2名が修士課程で行った研究成果が学術論文として公開されました。オープンアクセスなので下記のリンクから誰でも閲覧&ダウンロードできます。
https://rdcu.be/bW2TA
Hirano, K., Hara, T., Ardianor et al. Detection of the oil-producing microalga Botryococcus braunii in natural freshwater environments by targeting the hydrocarbon biosynthesis gene SSL-3. Scientific Reports 9, 16974 (2019) doi:10.1038/s41598-019-53619-y
本研究は、石油を作る微細藻類として知られているBotryococcus brauniiを材料とした研究です。この微細藻類はバイオ燃料を作る微生物として注目されていますが、自然界ではどのような環境に生息しているのか、どんな生活をしているのか、ほとんど分かっていません。顕微鏡でないと確認できない微生物であるためと、あまり多くはいないため、調べるのが難しいのです。
そこで私たちはいま流行りの環境DNA分析にヒントを得て、この微細藻類由来のDNAを特異的に検出する技術を開発しました。大変高感度な手法であるため、サンプルした水の中に1コロニーしかいなくても、検出することができます。
なお、本論文のデータは、環境工学科がインドネシアの大学と実施した国際PBL授業のフィールド調査をベースにしています。熱帯に生息するBotryococcus brauniiに関する科学的な報告はこれまでほとんどありませんでしたので、本研究をきっかけに研究が進展することを期待しています。
私たちは、この手法を使って、未知の生態解明や遺伝資源の収集に役立て、さらに大きな成果につなげたいと思っています。