産官学協働の技術革新と人材育成に貢献する多彩な「研究センター」

暮らしを豊かに、社会を安全に、未来をこの手に

交通インフラの阪神高速道路と東京湾アクアライン、さらには世界遺産の姫路城と富岡製糸場という4つの構造物すべてに共通すること。それは、その強度や構造に関する基礎実験が、OITの誇る「八幡工学実験場」で行われたことです。ここでは、構造や水理・高電圧分野を専門とするOIT工学部教員が産業界や官公庁と協働して多方面にわたる実験を行い、四半世紀以上にわたって日本の工学の発展に確かな足跡を残しています。
この実験場に限らず、OIT工学部・工学研究科に関連する各研究センターの特長は、現代社会に広く“いきる工学”を生み出していることです。
健康で安全な未来に向けて「ナノ材料マイクロデバイス研究センター」で推進されるナノレベルの技術革新や、「環境ソリューションセンター」で探究される環境負荷の小さい水・廃棄物資源の循環・再利用など、時代が求める最先端の工学的取り組みがそこにあります。

実践型育成ファクトリー「ものづくりセンター」

これらの研究センターには、最新鋭の設備が多数導入されています。その環境は、教員にとって不可欠な研究基盤となるだけでなく、OIT工学部学生・大学院生にとっての大きな“教育資源”ともなります。
とくに豊潤な“資源”を備えるのが「ものづくりセンター」(通称MONOLAB.)です。このセンターは、実習型授業や個別利用にくわえて、人力飛行機、ソーラーカー、ロボット、フォーミュラ、小学校リノベーションなど、OIT工学部学生にたくましい活力を与えている多彩な“学生による実践プロジェクト”の拠点となっています。
全国規模の大会でしばしば好成績を収めるこうしたプロジェクトへの参加学生は、2014年に受検した「PROGテスト」(大卒者に求められる汎用的な能力・態度・志向に関する検査)の「課題発見力」や「構想力」において、全国平均よりきわめて高い値を記録しました。本格的な制作体験が、エンジニアとしての豊かな技術や精神を育んでいる証です。

「ロボティクス&デザインセンター」誕生

2014年にまた一つ、ユニークで先見的な人材育成施設がオープンしました。“ロボット工学”を私たちの生活空間に活かしつつ、暮らしに役立つ“デザイン思考”によるイノベーションを創出できる人材。そんな次世代人材を課題解決型プロジェクトで育てる「ロボティクス&デザインセンター(RDC)」です。
さまざまな工学的技術(機械、電気電子、制御、情報など)の融合が不可欠なロボティクスですが、少子高齢化が進む現代社会で人とロボットが豊かに共存するには、神経科学・認知科学や社会学など、近年大きく進歩している学際領域の知見も多角的に取り込む必要があります。
それらを総合的に踏まえ、ごくあたりまえに“ロボティクス”が暮らしに組み込まれたより快適な未来を“デザイン”する。RDCは、そうした創造性を備えた未来のイノベーションリーダーを育成します。

梅田からグローバルへ

2017年、大阪・梅田にOIT新キャンパスが設置されます。RDCはこの梅田キャンパスに機能を移します。
大阪、ひいては西日本の経済・ビジネスの中心部であり、関西国際空港を経由してアジアや世界とも直結するこのエリアでグローバルな教育研究を展開すべく、RDCは産業界や海外著名大学との連携を進めています。
たとえば、デザイン思考による先進的教育で知られる米国・スタンフォード大学とは、共通のロボットをテーマに学生相互のディスカッションを計画。独・ミュンヘン工科大学とはすでに、人間とロボットのバリアフリー空間について建築学的な見地を交えて考察を始めています。
総合的な技術・知識・アイデアが集積するRDCは、OIT学内外の多彩な研究や人材が融合する拠点となりえます。つまりRDCは、OITのみならず、グローバル社会全体のイノベーション活動のハブとしてそびえ立つ潜在力に満ちているのです。