Studies 2025年度,空間デザイン研究室で行っている研究です 機械学習と橋梁劣化の把握 橋梁やトンネルをはじめとするわが国の社会資本ストックは、高度経済成長期に集中的に整備され、今後、加速度的な老朽化が予想されています。また、いまだに状態がわかっていない社会資本ストックも日本には多く存在します。そうした中で国土交通省はDXやICTを活用することによる維持管理効率の向上を推進しています。本研究では、機械学習を用いて、気象データなどの周辺の環境情報から橋梁に対する影響量を把握することを目的としています。また、GISと組み合わせることによって、状態が把握できていない橋梁の状態把握にも役立てたいと考えています。 歩行空間における街路樹の認知特性 街路樹にはさまざまな役割があり、道路沿いの環境を守ることだけでなく、ヒートアイランド現象などの都市特有の現象の緩和にも貢献している。樹種の選定の際には、さまざまな劣悪な環境にも耐えうるよう考慮されています。しかし、適切な植樹の間隔が設定されていない場合も多く見受けられます。実際、街路樹の管理に関するマスタープランを策定している自治体は限られており、地域によって街路樹の間隔が一定していないのが現状です。そこで本研究では、歩行者の視線行動に着目し、適切な街路樹の植樹形態を明らかにすることを目的としました。調査では、シミュレーションを用いたアンケート調査を実施し、多変量解析を用いて、歩行者の街路樹に対する認知構造を明らかにしました。 バーチャル都市空間における路面舗装デザインと歩行軌跡 日本のインフラは高度経済成長期に整備されたものが多く、2030年には約7割が築50年以上となります。高齢化に伴い、歩行の安全性や快適性に配慮したバリアフリーデザインが進んでいますが、デザインの観点から明確な指標はなく、地域の特色に基づき決定されることが多いです。本研究では、仮想空間を用いて複数の舗装デザインを比較し、歩行時の軌跡を分析しました。その結果、舗装の視覚的要素が歩行の方向や動きに影響を与える可能性が示唆されました。 ・・・ 歩行者空間における小規模群衆流動の可視化手法と評価 コロナ禍以降、地域活動が再開され、街の活気が戻る中、公共空間における人々の行動が周囲の環境に与える影響について重要になっています。歩行者はほんの数人で歩く場合にもひとりと異なる動きをすることも多いです。このことから、人々の行動が他の交通環境に与える影響を可視化することで歩行形態の評価をおこないました。横断歩道での群衆流動の可視化手法をおこなったところ、密度などが関係していることがわかりました。群衆流動の距離と密度の観点から分析をおこない、定量的に評価しました。評価した歩行者の特徴から、安全で快適な空間の計画の向上を目指しています。 歩行者行動と道路の空間構成に着目した歩道橋の評価方法 本研究の目的は、インフラの老朽化問題の一環として歩道橋に焦点を当て、乱横断と歩道橋の関係を分析し、現状の歩道橋の評価について新たな指標を見つけることです。まず、歩道橋と乱横断の関係を明らかにして、歩道橋の評価が可能であるか調査・分析をおこないました。次に、歩道橋と周辺施設の位置関係をみることで乱横断とあわせて評価することが可能か検討しました。歩道橋が歩行者に与える心理的影響なども合わせて見ることで、より正確な評価が可能になると考えています。 都市内結節点が歩きやすさに与える影響について -公共空間におけるエスカレーターに着目して- ・・・ 勾配を用いた歩行空間の評価と動線予測の方法 現在、わが国では新型コロナウイルスによる混乱の収束や円安の影響による訪日外国人の増加傾向にあります。そのため、公共交通機関の利用の増加や観光地の混雑がみられます。このことから公共交通機関や観光地とその周辺の歩行空間が重要視され、歩きやすさや魅力を失わない歩行空間整備等の対策が必要となってきます。そこで本研究では、居心地の良い空間とは集まりやすい空間だけではなくその空間が歩きやすいことも重要だと考え、人の行動と歩行空間の構造との関係に着目した研究を行っています。 駅前広場空間における色彩と駅のイメージ 日本では、駅前広場はもともと交通の結節点として整備されてきたが、近年では交通の結節点だけでなく、コミュニティスペースとしても機能している。そして、利便性・快適性・安全性・地域性といった要素が含まれた魅力的な場所であることが求められている。こういった社会背景から駅前広場の景観デザインのあり方について着目した。画像分析を用いた実際の駅前広場の色彩の抽出や、アンケート調査による駅の色彩イメージの抽出、色彩イメージの影響要因について分析をおこなうことで、色彩によってより良い駅前空間を目指します。